僕の生存日記   第1話:僕らはみんな終わってる

 僕は『川野辺 葉乃』。
 これまでのあらすじ〜高校生になったばかりのある春の夕暮れ、ヤクザと出会いました。

「で、あ、あの……」
 ヤクザに連れてこられたのは――僕の学校だった。
「こ、小竜高校じゃないですか」
「んだよ。文句あんのか!?」
「いえ、めっそーもございません!!」
 心の叫び、早く帰らせてくれぇ。
 ヤクザは再び胸元に手を突っ込んだ。
 こ、今度こそ殺されるのか!?神様っっ!!!!

 ヤクザが胸元から取り出したモノ、それは――
「……あ、空き缶?」
 ヤクザは胸元から空き缶を大量に取り出した。
「どこにしまってたんですかぁぁ!!??」
「そこは気にしたら負けってもんだろう」
 ヤクザは言う。
「俺はな!高校一のカンケラーになりたいんだ!!!!」
「カンケラー??」
 サングラスの奥の目を輝かせながら説明してくれた。
 ヤクザによると――

 鬼と人質と勇気ある人間が争う『缶蹴り』――
 鬼を倒そうと缶を蹴り飛ばす人間。それを捕まえて食す鬼。人間は鬼を倒す為に必死だが、一部の人間は鬼に捕まってしまい、それを(中略)要するにただの缶蹴り。
 カンケラーは缶蹴りを制する者、缶蹴りマスターのことを指すらしい(缶蹴りマスターって何じゃい)
 ヤクザは、そのカンケラーになる為、日々努力をしているとのこと……
 そして小竜高校に存在する『缶蹴り部』(そんなものあるの!?)
 夏に行われる、全国高校生缶蹴り大会に向け(全国から人が集まるほど存在してるの!?)、ヤクザは人を集めているらしい……

「というわけで、お前も缶蹴り部に入部するのだ!!」
「えぇぇ!?」
 そりゃぁ、まだ部活は決めてなかった。……けど、けどぉ!!
「あ?入らねーのか?」
 ヤクザが睨みを利かせる。

 僕は――
 僕は、ガツンと言ってやった!



「是非入部させてください」



 あぁ……僕のバカ……


「よしっ!決まりだな!!あ、俺は『神成 躍人(かんなり やくと)』!小竜高校の2年生だ!よろしく!」

 つぅか、このナリで高校生かよ!!!!????制服じゃねーし、スーツだし!