僕の生存日記   第1話:僕らはみんな終わってる

 僕、『川野辺 葉乃』は、会ったばかりの『神成 躍人』と友達だと思っていた『千羽 緋路』から脅されて死にそう。

 翌日。
「ぃょーぅ。川野辺クン!!」
「か、神成センパイ!!」
 ヤクザ……じゃなかった。神成先輩が、僕を訪ねて1年1組の教室までやってきた。
「よく僕の教室が分かりましたね……」
「おう。ちょっとそこら辺のをぼこって――じゃなくて、ちょっとしたねっとわぁくがあってだな」
 ……やっぱり怖い人だ。
「それでな、川野辺くん」
「は、はい……」
 神成先輩が笑顔で口を開こうとする。

 ――どうしよう。
 人が見つかってませんと素直に言うべきか。いや、それはきっと殺される。
 じゃあとりあえず、千羽が部員になってくれると言えばいいのか。いや、それは確実に僕が人として終わる。
 どうしようどうしよう。

「川野辺くん。俺、缶蹴り部辞めたから」



「――――は?」



 神成先輩の思い掛けない言葉。開いた口が塞がらないとは、正にこのことだ。
「ちょ、ちょっと待ってください。ど、どういうことですか!?」
 神成先輩はあっさりと、
「だから、缶蹴り部辞めたんだって。今のトレンドは『けいどろ』だね。『けいどろ部』を作ろうと思ってな」

 トレンドじゃねーよ!!!!!!!!

「っていうか、何でそんな古い遊びばっかり……!」
「というわけで、新しくけいどろ部の部員を集めてくれ」

「何でじゃああああああああああああああああああああ――――――――!!!!」

 小竜高校の全校舎に、僕の叫び声が響き渡った…………



 僕の苦難の高校生活は、まだ始まったばかり……_| ̄|○