僕の生存日記   第2話:彼女は二重人格

 『川野辺 葉乃』は小竜高校1年1組の生徒。先輩の『神成 躍人』や友達の『千羽 緋路』なんていう変な人達に囲まれてるなぁと思ったら、実は同じ班の『黒井 姫』さんまで変な人!?

「掃除だぁ!?この私にやらせようってのか!?」
「……イエ、滅相もございません」
 突如、豹変した黒井さんの前に正座で座らせられる僕。
「こんなもん、召使い一人いりゃじゅーぶんだろ!」
「あの、召使いって……」
「トーゼン!お前のことに決まってんだろーが!!!!」
 黒井さんが僕に向かってほうきの先を突きつける。
 さっきまでのかわいい彼女はどこへやら。笑顔がとても黒い。怖い……
 ほ、本当に何が起こったんだ……(涙)
「あ、あの黒井さん……」
「黒井さんじゃねー!!く・ろ・い・さ・ま、だろ!!!!」
「く、黒井様……」
 怖くて何も言えなくなる僕チキン。
 黒井さん……いや、黒井様は、そこらへんの机にどかっと腰掛けると、
「っつーわけで、私はここで見てるから、さっさと掃除終わらせろ!!帰るのが遅くなったらお前のちょん切るからな!!!!」
「どこを!!!!????」
 とにかく、ちょん切られたら洒落にならないので、彼女の言うとおり慌てて掃除を始める。



「遅い!!!!!!!!!!!!」



「まだ1分も経ってませんよ!!!!????」



「いや、遅い!もうこうなったらちょん切るしかねーな!とっとと出せや!」
「な、何をですか!」
 机からハサミを取り出した黒井様は、無理矢理僕を床に押さえつけ――
「い、いやぁ、やめてぇ!らめぇ!!!!ぎゃー!!!!!!!!」
 暴れる僕。
「大人しくしやがれ!!」
 両手で僕を押さえつけようと、黒井様はずっと手に持っていたほうきを床に置いた。

「――――あれ?」
 直後、目が覚めたように、彼女はあたりをきょろきょろと見渡すと、
「……掃除用具入れのロッカー……何で壊れてるんですか〜?」
 そう言って、首を傾げた。
 な、な、何だったんだ????
 一瞬にして元に戻った黒井さんは、にこにこしながら、
「よく分からないけど、掃除する場所が増えちゃいましたね〜。あれ?川野辺くん、どうして床に寝てるですか〜?」
 と言ってのけた……

 ぐったり。