僕の生存日記   第3話:夢の中へ行ってみたいと思えません

 『川野辺 葉乃』はぐったり中。『神成 躍人』は今のところ出番ありません。『千羽 緋路』はそろそろやって来そうな予感。『黒井 姫』は今日もぽえぽえしてますよ。

 お昼休み。

「葉乃〜〜!!」
 千羽が教室の窓から、元気良く顔を覗かせた。
 僕に告白してきてからというもの……時間を見つけてはしょっちゅう教室に来るようになっていた。しかも日が経つにつれ、頻度が上がっているような……
「葉乃、昼ご飯一緒に食べようぜ!」
「あはははは……千羽、来過ぎ…………」
「少しでも一緒にいt」
「はいはいはい!行きましょう行きましょう!」
 また変なことを言い出した千羽を遮り、僕はお弁当を持って教室を出た。

 ドンッ!!

 その直後、思いっきり人にぶつかった……またか。

「す、すいませ……」
「さっきの子猫ちゃんじゃないか」
 ――――ん??ι
 聞き覚えがある声…………



「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」



 またか!またなのか!!!!
 さっきの男!!!!!!
 夢でも会った、朝も会ったあのキモイ男だ!

「あ、お昼ご飯?僕もいいかな?」
 その男が、僕が手に持ったお弁当を見ながら言った。
 ……ぶ、ぶっちゃけ、キモイし、何かやな予感がするから……イヤだ!!
 ――と、僕が言う前に。
「おたく、誰ですか〜〜?」
 千羽が男に向かって訊いた。
 ……その顔には、「俺の葉乃に手ェ出すんじゃねぇ!!」って書いてあるように見えるんですが。
「あ、僕?」
 男は髪をかきあげながら、名乗った。
「僕は『今池 輝也(いまいけ てるや)』」
 背が高く、すらっと長い手足……整った顔。髪型もイマドキ。と言った感じで、長過ぎるわけでもないが長めの髪にエクステとかいうのをつけてるっぽい。
 うん、多分、見た目はいいんだ。
 性格は激しくキモイんですが。
「君は?」
 その男――今池君が、今度はこっちに訊いてきた。
「あ、僕は……」
「俺は『千羽 緋路』!!こいつは『川野辺 葉乃』だが、俺の恋人だ!」
「ちげええええええええええええええええYO!!!!!!」
 千羽が勝手なことを言い出し、思わず反論。
「仲良いんだね。ちょっと妬けちゃうな」
 僕らを見て、今池君が恐ろしいことを言う。
「って、だから違うから!怖いから!!」
「そんな、葉乃ぉ〜!」
 千羽が珍しく情けない声を出した。
 だが。

「何を言ってもダメぇ!!男同士とか、有り得ないでしょ!!」

 その直後、一瞬、場の空気が固まった……気がした……

「え?」