エンタメクラブ   Act.3:初めての活動

 しかし、なにがどう本格的だというのだろーか。
 ――『趣味を追求する部活』なんて言っていたケド……具体的にどんなことをすりゃいいのかさっぱりわからん。
 それをこの部活の発案者――着ぐるみ理事長に言ってみたところ……。
「ンなもん、部長が考えてくれよ」
 なんて、あっさり押し付けられてしまった。
 高等部校舎の1階の北東の端にできた部室(元はなにかの部屋? 今は使ってない部屋らしい)の小さなテーブルで、私は1人考えていた。
 と、そこへ。
「あ、笑さん。いたのね」
 ゆっくりと扉が開き、この部の顧問となってくれた、国語教師の『小坂 実(おざか みのり)』先生が入ってきた。
 ――この小坂先生。着ぐるみ理事長が高3のときの担任だそうで。顧問を決めなくてはいけないとき、頼める人は誰かいるのかと悩んでいたら、着ぐるみ理事長が、「仲のいい先生だったから(?)」と小坂先生の名前を出してきた(……って。『(?)』の辺りがとっても気になったんですけど……)。そこで、ダメ元で頼み込んでみたところ――なんと快く承諾してくれたのだった。
 それなのに。ちゃんと顧問までできたのに。
「やることないなんて、けっきょく部活動として成り立ってねーじゃん!!」
 おもわず大きな声を出してしまった。
 小坂先生はびっくりした様子で私を見たが、小さく笑うと近くの椅子に座って、私の目を見つめて言った。
「部活動なのにやることがない? だったら、自分から動いてみましょうよ」
「……え?」

 私は、放課後の学校を、1人でうろついていた。
 どこからか、吹奏楽の楽器の音や、運動部の掛け声なんかが聴こえてくる。
「……『動いてみる』って言ってもなぁ……。ホントに見つかるかなぁ?」
 私はおもわず呟いた。
 ――……。
「『自分から動いてみる』……って? どーゆーことですか?」
「ココでただ考えていても、しょうがないでしょ。だから……ほかの部活を見学しに行くのはどう!? 意外とやりたいことが見つかるかもよ?」
「そ、そういうモンですかねぇ……?」
 小坂先生が言い出した言葉に、私は少し不安になった。
 ――そんなものでなにか変わるのか?
 ……でも、たしかに。ココにいてもしょうがない。考えてたって、なにも思い付かない、変わらない。小坂先生の言ったとおりにして、なにか変わるかもわからないケド……まぁ、気分転換くらいにはなるかもしれない。
「……そうですね。私、いろいろ見て回ってきます」
 部室を出て行こうとした私の背中に、小坂先生が声を掛けた。
「笑さん。これから、頑張りましょうね」
「……ハイ!」
 ――……。
 フと、さっきのやりとりを思い出した。
 ――そうだね。部長なんだし……先生も付いててくれるみたいだし……頑張ろう。
「……しかし、よく考えてみたら、なんで1年の私が部長やねん。オカシイやんけ」
(いまさらかもしれないことを)ナゼか関西弁になりながら、頭の中で着ぐるみ理事長にツッコむ私だった……。