エンタメクラブ Act.5:学校の怪談
そんなこんなで土曜日の夜。
平日の夜だと遅くまで先生がいるだろう。だから、半日授業である土曜の夜に決行することとなったのだった。
しかし、理事長なのだし多少のわがままは通るだろう。先生に許可を取ればいいのに、なぜだか忍び込むことになった部室。着ぐるみ理事長曰く、
「そのほうがスリルあって楽しいじゃーん♪」
とのこと。――本当に、自由に生きているんだなぁと……。
忍び込むにあたって、とりあえず夜の9時に校門の前で待ち合わせすることになった私達。
私が校門の前に着いた頃には、もうそこには茜さんとあすちゃん、そして高木君が集まっていた。
「こんばんは〜」
「あ、笑ちゃん。こんばんは」
軽く挨拶をしてから、校門に寄りかかった。
「さて、こっからどうやって忍び込むつもりなんだろうね、着ぐるみ理事長は」
誰に問うでもなく、私は言った。
茜さんとあすちゃんは首を傾げる。
「着ぐるみ理事長もここに来るんですよね」
「もちろん。みんな来るよ」
「華藤さんも仮入部員として来るって」
そんな話をしていると、
「よっ! こんばんは」
宵ちゃんがやって来た。なぜか葉山も一緒だ。
「あれ? 一緒に来たの?」
尋ねると、
「親に途中まで送ってもらったんだけどね。親がすごい心配そうにしてるからさ、降りるとき、ちょうどこいつが通りかかったもんで捕まえて、男もいるから大丈夫だ! って言って逃げてきたんだよ」
――それ、なんか誤解されたりしない? 逆に心配されそうだよ……。
と思ったけど口にはしなかった。
代わりに、葉山がすごく微妙な表情をしていた。
「で、今何時?」
宵ちゃんに聞かれ、時刻を確認する。というか、すぐそこ、校門の脇に時計が立っているじゃないか。
現在時刻は8時55分。約束した時間まであと5分ある。
「誰が1番最後に来るか賭けようか」
「きっと着ぐるみ理事長じゃないか?」
「そんな気がしますね」
「そもそもそれ誰だよ」
さっぱりわからないというふうに、高木君が言う。
そういえばそうか。高木君は知らないよね。まだ1度も着ぐるみ理事長と遭遇してなかった。
「独裁者だね」
「なんというか……いろいろと、すごいですよね……」
「わがままよねー」
「宵ちゃんがそれを言う……まぁいいや。とにかく、とんでもないね」
着ぐるみ理事長がまだ来ていないのをいいことに、私達は好き勝手喋る。
「誰がわがままで高慢な独裁者じゃ――――!!」
誰もそこまでは言っていない。ほぼ言っているけど。
そんな抗議を口にしながら、いつの間にやって来たのか。着ぐるみ理事長が話に割って入ってきた。
「あー。着ぐるみ理事長、やっと来ましたか」
「やっとじゃないよ! 時間ぴったりじゃん!」
着ぐるみ理事長は玄関の時計を指差しながらむくれて言った。
言うとおり、時刻はちょうど9時。
私はみんなを見回した。
「えーと……まだ揃ってないよね?」
端から、茜さん、あすちゃん、高木君、葉山、宵ちゃん、着ぐるみ理事長に私……。まだ来ていないのは、森と松、そして華藤さんだ。
メンバーを確認していると、小走りでやって来た2人がいた。
「悪ィ! 遅れた!」
森と松だ。
「ちょっと遅い!」
文句を言うと、森がそれに対して反発をしてきた。
「そんなに過ぎてないし、セーフだろ?」
「セーフかアウトかなら、ちょっとアウトだよ!」
「そうか? でもまだ部室に向かってないし、セーフってことで。許せって、な?」
そう言いながら、森は私の頭をぽんぽんと叩いた。
おもわず顔に血が上る。
――こ、この人、本当は私の気持ちわかってるんじゃないの!? なんて思ってしまった。もう本当に恥ずかしい。嬉しいけど、やめてほしい。
でも、暗いし、こんな簡単なことで真っ赤になっているなんて、きっとわからないだろう。今が夜で良かった。
「それで。あとは華藤さんだけね」
「あ、季ちゃんなら大丈夫。もう始めるよ」
あすちゃんの言葉に、着ぐるみ理事長がそう答えた。
――もう名前で呼んでいるのか……。それよりも「大丈夫」ってなんだ。
「連絡してあるからさ! 行くよ!」
どういうことかわからないが――なんとなく嫌な予感もするが――とりあえず、私達は一足先に部室へ向かうこととなった。
いったいどんなことが待ち受けているのだろうか。無事に帰れますようにと願わずにはいられなかった。
そんなこんなで土曜日の夜。
平日の夜だと遅くまで先生がいるだろう。だから、半日授業である土曜の夜に決行することとなったのだった。
しかし、理事長なのだし多少のわがままは通るだろう。先生に許可を取ればいいのに、なぜだか忍び込むことになった部室。着ぐるみ理事長曰く、
「そのほうがスリルあって楽しいじゃーん♪」
とのこと。――本当に、自由に生きているんだなぁと……。
忍び込むにあたって、とりあえず夜の9時に校門の前で待ち合わせすることになった私達。
私が校門の前に着いた頃には、もうそこには茜さんとあすちゃん、そして高木君が集まっていた。
「こんばんは〜」
「あ、笑ちゃん。こんばんは」
軽く挨拶をしてから、校門に寄りかかった。
「さて、こっからどうやって忍び込むつもりなんだろうね、着ぐるみ理事長は」
誰に問うでもなく、私は言った。
茜さんとあすちゃんは首を傾げる。
「着ぐるみ理事長もここに来るんですよね」
「もちろん。みんな来るよ」
「華藤さんも仮入部員として来るって」
そんな話をしていると、
「よっ! こんばんは」
宵ちゃんがやって来た。なぜか葉山も一緒だ。
「あれ? 一緒に来たの?」
尋ねると、
「親に途中まで送ってもらったんだけどね。親がすごい心配そうにしてるからさ、降りるとき、ちょうどこいつが通りかかったもんで捕まえて、男もいるから大丈夫だ! って言って逃げてきたんだよ」
――それ、なんか誤解されたりしない? 逆に心配されそうだよ……。
と思ったけど口にはしなかった。
代わりに、葉山がすごく微妙な表情をしていた。
「で、今何時?」
宵ちゃんに聞かれ、時刻を確認する。というか、すぐそこ、校門の脇に時計が立っているじゃないか。
現在時刻は8時55分。約束した時間まであと5分ある。
「誰が1番最後に来るか賭けようか」
「きっと着ぐるみ理事長じゃないか?」
「そんな気がしますね」
「そもそもそれ誰だよ」
さっぱりわからないというふうに、高木君が言う。
そういえばそうか。高木君は知らないよね。まだ1度も着ぐるみ理事長と遭遇してなかった。
「独裁者だね」
「なんというか……いろいろと、すごいですよね……」
「わがままよねー」
「宵ちゃんがそれを言う……まぁいいや。とにかく、とんでもないね」
着ぐるみ理事長がまだ来ていないのをいいことに、私達は好き勝手喋る。
「誰がわがままで高慢な独裁者じゃ――――!!」
誰もそこまでは言っていない。ほぼ言っているけど。
そんな抗議を口にしながら、いつの間にやって来たのか。着ぐるみ理事長が話に割って入ってきた。
「あー。着ぐるみ理事長、やっと来ましたか」
「やっとじゃないよ! 時間ぴったりじゃん!」
着ぐるみ理事長は玄関の時計を指差しながらむくれて言った。
言うとおり、時刻はちょうど9時。
私はみんなを見回した。
「えーと……まだ揃ってないよね?」
端から、茜さん、あすちゃん、高木君、葉山、宵ちゃん、着ぐるみ理事長に私……。まだ来ていないのは、森と松、そして華藤さんだ。
メンバーを確認していると、小走りでやって来た2人がいた。
「悪ィ! 遅れた!」
森と松だ。
「ちょっと遅い!」
文句を言うと、森がそれに対して反発をしてきた。
「そんなに過ぎてないし、セーフだろ?」
「セーフかアウトかなら、ちょっとアウトだよ!」
「そうか? でもまだ部室に向かってないし、セーフってことで。許せって、な?」
そう言いながら、森は私の頭をぽんぽんと叩いた。
おもわず顔に血が上る。
――こ、この人、本当は私の気持ちわかってるんじゃないの!? なんて思ってしまった。もう本当に恥ずかしい。嬉しいけど、やめてほしい。
でも、暗いし、こんな簡単なことで真っ赤になっているなんて、きっとわからないだろう。今が夜で良かった。
「それで。あとは華藤さんだけね」
「あ、季ちゃんなら大丈夫。もう始めるよ」
あすちゃんの言葉に、着ぐるみ理事長がそう答えた。
――もう名前で呼んでいるのか……。それよりも「大丈夫」ってなんだ。
「連絡してあるからさ! 行くよ!」
どういうことかわからないが――なんとなく嫌な予感もするが――とりあえず、私達は一足先に部室へ向かうこととなった。
いったいどんなことが待ち受けているのだろうか。無事に帰れますようにと願わずにはいられなかった。