グローリ・ワーカ 第12章:タイムリミット24時間
………………。
「うーん……。あれ? ここは……」
「ん……魔界!? 戻ってこれたのぉ!?」
「そう。魔界だよ」
目の前で声がする。まぶたを開いて、最初に目に飛び込んできたもの、それは――。
「!! マニュ――ミリア!?」
そう、それはミリアの顔であった。
マニュアではない。ダークな笑顔――。
「マニュちゃんは!?」
「それに――ストームたちも!」
慌てて辺りを見回す2人。
そして、見つける。目の前に立ち塞がるミリアの後ろに、倒れているいくつかの――、
「――!!!! ストームウウぅぅぅぅ――――ッッ!」
そう。そこには、ストームやアリス、ニール、そして、ヤンの横たわる姿があった。
かろうじて、ピュウがその隣に立膝を突いた状態でいた。
その後ろには、玉座に座ってにやにやといやらしい笑顔を浮かべた魔王がいる。
「ストーム! ピュウ、ストームたちは……ッ!!」
慌てて駆け寄るティル。
アルトは呆然とその様子を見ていた。
ミリアが再び口を開く。
「あいつらはこの手で始末したよ。この裏切り者のシリアのせいで、ちょっと時間が掛かってしまったが……」
シリアの手首を力強く掴んで、引っ張る。
どさっ……と、アルトの目の前に置かれたのは、体のあちこちから血を流しているシリアだった。幸い、気は失っていないようだが……。
「シリアちゃん!」
慌てて抱き起こす。
シリアはかすれる声で言った。
「連絡をしたとき、既にピンチだったんですけど……。伝えるタイミングを……逃してしまいましたね……ハハ……。連絡が途絶えた瞬間、後ろから襲われて……こんなです……」
僅かに笑顔を浮かべる。
そして、アルトに尋ねた。
「……それで、姉さんは…………?」
「あ……、マニュちゃん!?」
ふっと顔を上げる。
そして、気付いた。ミリアのその後ろに――。
もやもやと、何か、不思議なものがいた。
そう、ミリアの後ろに佇むもやが――それが何かも分からないはずなのに、なぜだか、にっこり笑った気がしたのだ。
「マニュちゃ――」
それに、声をかけようとしたのと同時だった。
「――ミリア!!!!」
魔王が叫んだ。
やはりほぼ同時に、ミリアがすごい形相で後ろを振り返る。
その瞬間、そこから不思議な光が漏れ出し、辺りを包み込んだ。
(――ミリア!)
「マニュア!!」
ミリアが叫ぶ。
そのミリアに、優しく呼びかけるような声。
(……ミリア、私を受け入れて……! 私は、あなたなんだから……!!)
ミリアが大きく首を振る。
「おまえは……魔族が分かっていない! 私は魔族だ! なぜ人間の味方をする!? 父に教わってきただろう、魔族のあり方を!」
そう叫ぶ。お前なんて受け入れないと、叫ぶ。
必死に伝える声が、交差をする。
(私は――母に教わったよ、人間の素晴らしさを。そして、実際に暮らして、旅をして、実感してきたんだ)
声が、1度途切れた。
そして、再び強い口調で、
(私は、あなたが、私とまったく同じを考えを持てなんて、同じになれなんて言わない。ただ、受け入れて。人間にも、魔族にも、きっと、善と悪の心があるんだよ。だから……、私たちが再び1つになってもおかしくないの。善と悪が一緒になったって、2つの気持ちを持っていたって、いいんだよ)
「……人間も……魔族にも…………」
ミリアが呟いた。
声がもう1度響いた。
(人間も、魔族も――同じなんだよ)
その言葉を聞いて、ミリアは少し考える。
そして、声に向かって答えた。
「――私は、おまえとは一生分かり合えない気がする」
(……いいよ。それでも。でもさ、ミリアだって、私が人間界に行ったとき、魔界からの使いが私を見つけて魔界と連絡が取れるようになるまで、ずーっと眠っていてくれたくせにさ。なにを今さら。って思うんだけどね!)
声がぶーたれたように言って、笑った。
「ふん……! もしまた1つに戻っても、魔族側につくぞ!」
(どうかな? 人間側につくと思うけど。賭けようか?)
ミリアの言葉に、対抗する返答。
ミリアはふっと笑うと、
「……よし、いいだろう。どちらが強いか、最後の勝負だ――」
………………。
「うーん……。あれ? ここは……」
「ん……魔界!? 戻ってこれたのぉ!?」
「そう。魔界だよ」
目の前で声がする。まぶたを開いて、最初に目に飛び込んできたもの、それは――。
「!! マニュ――ミリア!?」
そう、それはミリアの顔であった。
マニュアではない。ダークな笑顔――。
「マニュちゃんは!?」
「それに――ストームたちも!」
慌てて辺りを見回す2人。
そして、見つける。目の前に立ち塞がるミリアの後ろに、倒れているいくつかの――、
「――!!!! ストームウウぅぅぅぅ――――ッッ!」
そう。そこには、ストームやアリス、ニール、そして、ヤンの横たわる姿があった。
かろうじて、ピュウがその隣に立膝を突いた状態でいた。
その後ろには、玉座に座ってにやにやといやらしい笑顔を浮かべた魔王がいる。
「ストーム! ピュウ、ストームたちは……ッ!!」
慌てて駆け寄るティル。
アルトは呆然とその様子を見ていた。
ミリアが再び口を開く。
「あいつらはこの手で始末したよ。この裏切り者のシリアのせいで、ちょっと時間が掛かってしまったが……」
シリアの手首を力強く掴んで、引っ張る。
どさっ……と、アルトの目の前に置かれたのは、体のあちこちから血を流しているシリアだった。幸い、気は失っていないようだが……。
「シリアちゃん!」
慌てて抱き起こす。
シリアはかすれる声で言った。
「連絡をしたとき、既にピンチだったんですけど……。伝えるタイミングを……逃してしまいましたね……ハハ……。連絡が途絶えた瞬間、後ろから襲われて……こんなです……」
僅かに笑顔を浮かべる。
そして、アルトに尋ねた。
「……それで、姉さんは…………?」
「あ……、マニュちゃん!?」
ふっと顔を上げる。
そして、気付いた。ミリアのその後ろに――。
もやもやと、何か、不思議なものがいた。
そう、ミリアの後ろに佇むもやが――それが何かも分からないはずなのに、なぜだか、にっこり笑った気がしたのだ。
「マニュちゃ――」
それに、声をかけようとしたのと同時だった。
「――ミリア!!!!」
魔王が叫んだ。
やはりほぼ同時に、ミリアがすごい形相で後ろを振り返る。
その瞬間、そこから不思議な光が漏れ出し、辺りを包み込んだ。
(――ミリア!)
「マニュア!!」
ミリアが叫ぶ。
そのミリアに、優しく呼びかけるような声。
(……ミリア、私を受け入れて……! 私は、あなたなんだから……!!)
ミリアが大きく首を振る。
「おまえは……魔族が分かっていない! 私は魔族だ! なぜ人間の味方をする!? 父に教わってきただろう、魔族のあり方を!」
そう叫ぶ。お前なんて受け入れないと、叫ぶ。
必死に伝える声が、交差をする。
(私は――母に教わったよ、人間の素晴らしさを。そして、実際に暮らして、旅をして、実感してきたんだ)
声が、1度途切れた。
そして、再び強い口調で、
(私は、あなたが、私とまったく同じを考えを持てなんて、同じになれなんて言わない。ただ、受け入れて。人間にも、魔族にも、きっと、善と悪の心があるんだよ。だから……、私たちが再び1つになってもおかしくないの。善と悪が一緒になったって、2つの気持ちを持っていたって、いいんだよ)
「……人間も……魔族にも…………」
ミリアが呟いた。
声がもう1度響いた。
(人間も、魔族も――同じなんだよ)
その言葉を聞いて、ミリアは少し考える。
そして、声に向かって答えた。
「――私は、おまえとは一生分かり合えない気がする」
(……いいよ。それでも。でもさ、ミリアだって、私が人間界に行ったとき、魔界からの使いが私を見つけて魔界と連絡が取れるようになるまで、ずーっと眠っていてくれたくせにさ。なにを今さら。って思うんだけどね!)
声がぶーたれたように言って、笑った。
「ふん……! もしまた1つに戻っても、魔族側につくぞ!」
(どうかな? 人間側につくと思うけど。賭けようか?)
ミリアの言葉に、対抗する返答。
ミリアはふっと笑うと、
「……よし、いいだろう。どちらが強いか、最後の勝負だ――」