グローリ・ワーカ   第13章:不安

 そうして、人間界へと戻ってきた2人――。
「着いたよ」
「ん……。ここ、どこ?」
 2人は、見たこともない知らない街へと降り立った。
「なんで、こんな場所に……」
「……穴を開いてもどこに出るかまでは分からないんだ。ランダムだからね。……もしかしたら、もう2度とみんなには会えないかも……」
「え!?」
 マニュアの言葉に驚いてピュウは振り返った。
 地面を見つめていたマニュアは、ピュウの方を向くと、
「……なんて……。ま、とりあえず、宿を探そ! 運が良ければみんながいるかもね!」
 そう元気良く言って、ピュウの腕を引っ張った。しかし、目は笑っていなかった。
 その違和感に気付きながらも、ピュウは頷くことしかできなった。
「う、うん……」
「と……、その前に、ピュウ。魔族になったまんま……。いつもの姿にさっさと戻れー! 人間に見つかったら半殺しの刑かもだぞ!」
 マニュアが脅かす。
「って、えっ!? ほ、ほんと!?」
「さぁ? でも、宿でお金かかるから戻ってくれ」
「……」
 とぼけるマニュアに呆れて文句も出ないピュウだった。
「……って、あれ?」
 ピュウはあることに気付いた。
「マニュア……。耳が、伸びてる?」
 そう、マニュアの耳が他の魔族同様に伸びて尖っていた。肌の色はさほど変化ないようだが、よく見れば口から牙も見え隠れしている。それは間違いなく魔族の姿だった。
「あぁ、これ……。ミリアに体奪われたし、ミリアと1つになったからね。魔族の姿に戻っちゃったよ。人間に見つかったら半殺しにされたりしてね」
「え!?」
 普通の口調で、本気なんだか冗談なんだか分からないことを言う。
 結構とんでもないことを言っている割には平然としているなと、ピュウは先ほどからの違和感を更に強めた。
「なんて……。まぁ、いいや。それよりも宿行こう!」
「ピュウ!」
 その言葉を合図に、ピュウもやっと元の姿に戻ったのだった。