グローリ・ワーカ   第2章:災難

 リナの家に着き、この町の一般的な服装に着替えて髪もいじると、外に出てみることにした。ティルは眼鏡も外している。
「だ、大丈夫かな?」
「ほんとうに行けるのぉー?」
 不安そうな3人。
 リナは笑う。
「きっと……大丈夫だよ。そのために着替えたんでしょ」
「う、うん……」
 このままここにいても進まないので、おそるおそる外を覗いてみる。
 すると――
「うっわー!! さっきとは大違い!!」
「すっごい人……!」
 町は人でごった返していた。
 その様子を見て、3人は勢いよく外へと飛び出した。
「君達がもう帰ったと思ったんだよ。じゃあ、行こ! ホワちゃん!」
「え? どこに?」
 リナの言葉に「?」を浮かべるマニュア。
「さすがに、うちもこれだけの人を泊めるわけには行かないから。まずは宿にでも。普通の旅行者だと思わせれば泊めてくれるはずだから」
「あぁ。そーだね!」
「うん、行こっかぁ」
「って、普通の旅行者って……こんな森の中の町に来るのか……!?」
 同意してから、ふと気付いてしまい言うマニュア。
「大丈夫だよ。いちおう、たまにこれでも普通の旅行者も来るんだよ。まぁ――入り口まで冒険者を同行させるか、あと、魔法のかかった乗り物で来るかしてるけど」
「そ、そこまでして来る理由あんのか……!?」
 リナの言葉に驚くストーム。マニュアやティルも驚いた顔をしている。
「なんかね、幻の町みたいな扱いされてさ……。あ、あと、ここの酒場が人気! 特に踊りが!」
『幻の町』発言に、なんとなく納得してしまう3人だった。
「つーか、踊りが人気の酒場か。後で行ってみてーな!」
 ストームの言葉に、ティルがいっしゅんムッとした表情を浮かべた。
「それよりも。疲れたし、早く、宿――――――ッ!!」
 マニュアはそんなことなど気にせず、宿に向かってものすごいスピードで突っ走っていく。
 ……ほんとうに疲れているのだろうか?
「宿――――っ!!!!」
「ま、待って――!!」
「ピ、ピュウ――――――ッ!!」
 ピュウはずっとマニュアの腰にぶら下げているシザーバッグに入って寝ていたのだが、マニュアの勢いに転がり落ちてしまった。
「宿――――――――!!!!!!」
「「待てー! おい、こら――っ!!」」