グローリ・ワーカ   第3章:災難・その後

 ぶすーっとした表情で、頬杖をつくマニュア。
「ほら……機嫌治しなよぉι」
 踊り子達の舞台も終わり、今はべつの男が大道芸をやっていた。
「大道芸も面白いけどさぁ。けっきょく踊れなかったよ」
「おまえ、踊ってどーすんだよ……」
「ま、まぁまぁ皆さん。ソフトドリンクでもどうです?」
 宿の主人が気を遣って言う。
「え? いいの?」
「ウーロン茶!」
 不機嫌そうなまま、すかさずマニュアが答えた。
「私、オレンジジュースぅ!」
「俺、コーラ!!」
「わかりました。すいませーん」
 宿の主人が店員を呼ぶ。
「はーい」
 そこへやって来たのは、さっき右端で踊っていた踊り子だった。
「あ! さっきの――」
「踊り子さんじゃないですかぁ!! いやーかわいいですね!」
 宿の主人がすごい早さで食いついた。
「あ、はぁ……」
「……宿の主人ってさ、ロリコン?」
 おもわず陰で訊いてしまうマニュアだった。ティルは苦笑いで、
「さ、さぁ……?」
 と答えた。
「えっと……あの、それよりも、ご注文でしたね」
 話を逸らす踊り子。
「あ、そうです。ウーロン茶とオレンジジュースとコーラ。あと、ビールをもう1杯」
「かしこまりました。それと、あの――」
「ん? どうしました? あ、私に惚れちゃいましたか? それは困ったナァ」
 踊り子が気にしているのは、どうやらマニュア達3人のほうのようだ。
 踊り子は、宿の主人を無視して言った。
「あの、あなた達――今日の昼に現れた冒険者の方ですよね……?」