グローリ・ワーカ   第4章:人間と魔族

「もし、お礼をしてくれると言うなら、ノアの遊び相手でもしてやってくれませんか?」

 そう言われ、ノアと5人は家の周りで遊んでいた。
「ノアくんは何歳なの?」
「……5歳」
「いつもなにして遊んでるの?」
「……家の中で遊んだり、外で砂で山作ったり……」
 大人数で緊張しているのか、ノアの口数は少なかった。
「誰かお友達と遊ばないの?」
 誰かがおもわず訊いた言葉に、ノアは呟くように言った。
「お友達……いない」
「あ……」
 魔族だと迫害されているのだ。とうぜん、遊んでくれる子供などいるはずもなく――
 失言だったと、後悔した。
 ノアは、どこか遠くを見ていた。それからしゃがみこんで、バケツとスコップを持ち、1人で砂山を作り始めた。
「じゃあさ」
 マニュアがノアの前にしゃがみ、顔を覗き込んで言った。
「私がお友達第1号だ」
「え……?」
 ノアの目が見開かれ、瞳に太陽の光が反射して輝く。
 それにつられ、他のみんなも――
「それじゃあ、私がお友達2号っ!」
「俺が3号!!」
「待て、俺だ!」
「じゃあ私が5号だね」
 ノアが、恐る恐る口を開く。
「……ホント?」
 その言葉に、みんなにっこりと笑った。
「当たり前ジャン!」
「よろしくね♪」
「――うんっ!!」

 マニュア達5人とノアは、みんなで砂山を作っていた。いつしかそれは砂山を超え、1つのお城ができ始めていた。
 意外とみんな集中している中、ノアはふと思いついた。
(川を作ろう)
 砂の山(お城?)の周りを囲うように長い窪みを作り、水を汲んでそこへ流そう。
 バケツを持ち、立ち上がる。
(すぐそこの川から水を汲んでこよう)
 少し離れた川へ向かって、ノアは駆け出した。
 集中していた他のみんなは誰も気付いていなかった。
「ここ。もうちょっと削ろうよ」
「てっぺんに旗立ててぇなー」
「スコップ貸してよー」
 子供よりも熱中している5人であった。

 きらきらと輝く小川。
 少年は1人、川辺に座りバケツに水を流し込む。
 そんなノアの背後から、声がした。
「ねぇ。君は誰?」