RPGシアター

 16歳の誕生日、勇者は王様に呼び出され、魔王退治を仰せつかった。
「未成年になんてことを頼むんだ」

 魔王を倒すには、まず伝説の剣を手に入れなければならない。
 勇者は武器屋へ行くと、店主に告げた。
「伝説の剣ください」
「ヘイ、毎度!」
 160Gを支払い、勇者は伝説の剣を手に入れた。

 武器も揃ったし、レベルを上げつつ、魔王城へと向かわねば。
 勇者は町の外へ出た。
 魔王が現れた。
「なんでいきなり魔王とエンカウントしてんの!? 普通スライムからだろ!?」
「そりゃ魔王だってお忍びで旅行くらいするよ」
 勇者は大いに納得した。

「魔王! 覚悟!」
 勇者:レベル1
 魔王:レベル99
 勇者は力尽きた。

「やはり俺にはまだ早かったみたいです」
 復活した勇者は王様にそう報告した。
「そうか。仕方ない。こうなったら城の軍総出で魔王を迎え撃つぞ!」
 かくして、数の暴力によって魔王は倒され、世界に平和が訪れましたとさ。めでたしめでたし。

「勇者ってなんだろう?」
 勇者はその存在意義について38秒ほど考え込んだという。




 たまには短編でバカしたい。
 カテゴリここでいいんだろうか?
 実際、RPGって、弱い敵から進むに連れ強い敵が現れるようになっていくんですから、親切ですよね。


――――2015/01/13 川柳えむ