エンタメクラブ   Act.5:学校の怪談

 やっぱりこれは、どう考えても仕組まれていたに違いない。こんな上手い話、有り得るわけがない。
「ど・う・い・う・こ・と・で・す・か〜? 着ぐるみ理事長〜〜〜〜〜〜〜〜??」
「や、どういうことも、こういうことも。偶然偶然」
 ――んなわけあるか――――――――ッッ!!
 と、心の底から叫びたくなったが、どうにか抑えつつ。私は手元のくじを再びまじまじと見た。
 書かれているのは「2」という数字。……そう。森が今手にしているくじとまったく同じ数字だ。
「偶然じゃないですよね」
 もう1度、私は責めるような視線を着ぐるみ理事長に向けた。
「偶然だってば」
 着ぐるみ理事長は涼しい顔をして答える。
 ――はぁ。そう、どうせ、言っても無駄なんだ。
 とにかく今は、どぎまぎしているこの心を森にだけはばれないようにしたい。
 深呼吸をして、心を落ち着かせる。そして、周りを見てみれば、焦っているのは私だけではないようだった。
「おー! 茜! 俺と同じ番号だな! よろしく!」
「あ、し、松……! えぇと、えぇっと……!」
「あ、同じだな……」
「そうみたいね……よろしく」
「あぁ……」
「なんで男女で1組のペアなのさ〜? みんなで行きたい……」
「ヒロ、おまえ、木谷さんとペア……!」
「みたいだな。なんだよ、その目……」
 みんなの反応を見るだけで、誰と誰がペアなのかだいたい把握できた。
「はいはーい。それじゃあ、番号順に出発してもらうよー。目指すはエンタメクラブの部室! いちおう、いるかもしれない幽霊を成仏させるのが目的だから。部室に行って、テーブルに祭壇っぽいものを用意しておいたから、それにこのお札を貼って戻ってくるってことで! ハイ、お札」
 着ぐるみ理事長がお札らしきものを渡してくる。……が。
「これ、どう見ても……」
「お札ですよ?」
「どう見てもチョコについてくるおまけのシール(ビック○マンシール)じゃねえか!!」
「お札ですよ!」
 先に松がツッコんでくれた。
 ――うん、どう見てもあのシールだよね。これでもお札と言い張るか。
「さーてさて! では、1番のペアからどうぞー! 次のペアは、前のペアが出てから10分後に出発してね☆」
 ごまかすように話を進める着ぐるみ理事長。
 ――本当に成仏させる気あるのかぁ? いや、ないよね、これ絶対。
 私は手にしたお札(シール)を冷めた目で見ていた。