エンタメクラブ Act.6:君は太陽
森と並んで、部室まではもうあっという間。
特に何事もなく辿り着くことができた。
私達は部室の扉の前に立った。扉に付いた刷りガラスの向こうは暗く、いったいなにが待ち構えているのか検討もつかない。
「んじゃ、開けるぞ」
「そういえば、茜さん達は中にいるのかな?」
森が部室の扉に手を掛けたとき、私はふと疑問に思ったことを口にした。
「そういえば……会わなかったな」
森も不思議そうに言うと、扉に掛けていた手を離してこちらを振り返った。
追い付くこともすれ違うこともなく、ここまでやって来た。まぁ、だからきっと中にいるんだろうけど。
「とにかく、中に入ってみようか」
「そうだな――……」
再び扉に手を掛けた――と思ったら、またこちらを振り向き、にやりと笑って森は言った。
「どうする? 中にいるのが、あいつらじゃなくて、幽霊だったら」
「ちょ、ちょっと! なに変なこと言ってるの! 怒るよっ!!」
――ここまでなにも問題なくやって来たのに! いきなり怖がらせるようなことを言ってくる! ――さっきは優しかったのに、いじわるだ! いじわるだ――!
「森のバカ――――!!」
おもわず森の背中を叩く。
「いって!! 冗談だっての、冗談!」
「フン!」
私は怒って森から顔を逸らした。
――叩いたことで怒っただろうか? でも、今のは森が悪い……。
どんな表情をしたかはわからないが、森はそのまま部室の扉を開け――
「う……わっ…………!」
とつぜん妙な声をあげ、こちら側に体勢を崩して倒れてきた!
「ひゃっ!?」
ドシン! と、私はそれにおもいっきり巻き込まれてしまった。
「ちょっと……な、なに!? 森、どしたの!?」
「あれ……」
森は懐中電灯を前方に向けたまま、体勢を崩して固まっている。
懐中電灯の照らす先、そこには――
「――ア……アア……………………」
呻き声をあげ、顔を血で赤く染めた少女の姿が――
「きっ――」
おもわず声をあげそうになった瞬間、何者かによって、背後から力いっぱい部屋の中に押し込まれた。
そして――
ガララララ……ガチャ!
「えっ……!?」
扉が勝手に閉まった。
慌てて扉に手を掛けるが、びくともしない。勝手に鍵が掛かった……!?
「え、え? な、なに、なにこれ…………!?」
「な、なんだ!? どうした!?」
森もようやく体を起こしてこちらを振り返る。
「どうしよう! ドアが開かない!」
「え!? なんで……!?」
「わかんないよっ……! 誰かっ……!!」
混乱したまま叫ぶ。
目に涙が浮かんでくる。
「ちょ、お、落ち着けって……! そうだ! 鍵! 鍵掛かってるなら、内側からなら開けられるだろ!」
森の言葉に、はっと我を取り戻した。
――そうだ! そうだよ! なんで気付かなかったの! 勝手に鍵が掛かったとしても、内側からなら鍵開けられるじゃない!
なぜ勝手に掛かったかもわからない鍵を急いで開け――ようと思ったけど、違う! ない! これは家のように内側から鍵をかけられるタイプの扉じゃない。外側にしか鍵はついていない。こちらからじゃ鍵をどうにかすることはできない!
「開けられないよ!」
悲鳴に近い抗議の声をあげる。
「くそっ……! なんで……」
森がガタガタと扉を引くが、びくともしない。
「ねぇどうしよう! や、やっぱりこんなシールじゃダメだったんだよ!」
「落ち着け! 落ち着けって! 今どうにか開けるから――」
そうこうしている間にも、森の背後からは少女の呻き声がだんだんと近付いてきて――
「…………ア、アァ……ア………………」
「いやぁ――――――――!」
恐怖におもいきり目を瞑った。
――私、ここで、死んじゃうの……?
「木谷!」
森と並んで、部室まではもうあっという間。
特に何事もなく辿り着くことができた。
私達は部室の扉の前に立った。扉に付いた刷りガラスの向こうは暗く、いったいなにが待ち構えているのか検討もつかない。
「んじゃ、開けるぞ」
「そういえば、茜さん達は中にいるのかな?」
森が部室の扉に手を掛けたとき、私はふと疑問に思ったことを口にした。
「そういえば……会わなかったな」
森も不思議そうに言うと、扉に掛けていた手を離してこちらを振り返った。
追い付くこともすれ違うこともなく、ここまでやって来た。まぁ、だからきっと中にいるんだろうけど。
「とにかく、中に入ってみようか」
「そうだな――……」
再び扉に手を掛けた――と思ったら、またこちらを振り向き、にやりと笑って森は言った。
「どうする? 中にいるのが、あいつらじゃなくて、幽霊だったら」
「ちょ、ちょっと! なに変なこと言ってるの! 怒るよっ!!」
――ここまでなにも問題なくやって来たのに! いきなり怖がらせるようなことを言ってくる! ――さっきは優しかったのに、いじわるだ! いじわるだ――!
「森のバカ――――!!」
おもわず森の背中を叩く。
「いって!! 冗談だっての、冗談!」
「フン!」
私は怒って森から顔を逸らした。
――叩いたことで怒っただろうか? でも、今のは森が悪い……。
どんな表情をしたかはわからないが、森はそのまま部室の扉を開け――
「う……わっ…………!」
とつぜん妙な声をあげ、こちら側に体勢を崩して倒れてきた!
「ひゃっ!?」
ドシン! と、私はそれにおもいっきり巻き込まれてしまった。
「ちょっと……な、なに!? 森、どしたの!?」
「あれ……」
森は懐中電灯を前方に向けたまま、体勢を崩して固まっている。
懐中電灯の照らす先、そこには――
「――ア……アア……………………」
呻き声をあげ、顔を血で赤く染めた少女の姿が――
「きっ――」
おもわず声をあげそうになった瞬間、何者かによって、背後から力いっぱい部屋の中に押し込まれた。
そして――
ガララララ……ガチャ!
「えっ……!?」
扉が勝手に閉まった。
慌てて扉に手を掛けるが、びくともしない。勝手に鍵が掛かった……!?
「え、え? な、なに、なにこれ…………!?」
「な、なんだ!? どうした!?」
森もようやく体を起こしてこちらを振り返る。
「どうしよう! ドアが開かない!」
「え!? なんで……!?」
「わかんないよっ……! 誰かっ……!!」
混乱したまま叫ぶ。
目に涙が浮かんでくる。
「ちょ、お、落ち着けって……! そうだ! 鍵! 鍵掛かってるなら、内側からなら開けられるだろ!」
森の言葉に、はっと我を取り戻した。
――そうだ! そうだよ! なんで気付かなかったの! 勝手に鍵が掛かったとしても、内側からなら鍵開けられるじゃない!
なぜ勝手に掛かったかもわからない鍵を急いで開け――ようと思ったけど、違う! ない! これは家のように内側から鍵をかけられるタイプの扉じゃない。外側にしか鍵はついていない。こちらからじゃ鍵をどうにかすることはできない!
「開けられないよ!」
悲鳴に近い抗議の声をあげる。
「くそっ……! なんで……」
森がガタガタと扉を引くが、びくともしない。
「ねぇどうしよう! や、やっぱりこんなシールじゃダメだったんだよ!」
「落ち着け! 落ち着けって! 今どうにか開けるから――」
そうこうしている間にも、森の背後からは少女の呻き声がだんだんと近付いてきて――
「…………ア、アァ……ア………………」
「いやぁ――――――――!」
恐怖におもいきり目を瞑った。
――私、ここで、死んじゃうの……?
「木谷!」