グローリ・ワーカ   第21章:思い出を胸に

「あぅ――っ!! っとと! 危なー……」
「ひゃぁっ! あっ、危ないって、マニュちゃん……!」
「ホワイト! クリーム! 2人とも、危ねーぞ!」
「えっ!? うわ――っ!?」
「いぃやぁぁ――っ!!」
 って、まだ続いてるよ!?
「ア、アリス! 大丈夫か!?」
「あ、ストーム……。う、うん。大丈夫……って、また呪法来てるー!!」
「えぇ!? うわぁ!!」
 なんと長い……。
「うぇーん! キャア!!」
「うわぁっ!! ヒー! そっち、そっち行って! 来てる来てる!」
「えぇーっ! やだぁ、もー!」
 また、そっちでも……。
「キャアッ! ちょっ……!! キャッ!!」
「なんなんだよ! このやろー……。うわぁっ! オレンジ! 危ねっ!!」
「えっ! キャー!!」
「ウィンド・セーブ!」
「あっ……! ありがとう、サンド……!」
 ……新カップル誕生か?
「「なにがじゃ!!」」
 そんな冗談はさておき。
 ピュウの方も……。
「ピュウ、ピュウ!!」
 いつの間にか元の姿に戻り、呪法を身軽に避けていた。
 ちなみに、義父はずっとシールドを張って防いでいる。賢い選択かもしれない。
「あぁっ! ズルい!!」
 そう叫んで、マニュアは義父の後ろに隠れた。
「あっ! マニュちゃん! ズルーい!」
「俺も行くぜ!」
 などと言って、アルトとニールの2人もちゃっかり義父、そしてマニュアの後ろに逃れたのだった。
「うわっ!? お、おまえら……!?」
 義父の反応などなんのその。その様子を見たほかの人たちも。
「あっ! ズルい!」
「ひどーい! 僕も隠れる!!」
 そうして、みんな義父の後ろに逃げ隠れたのだった。
「あっ、あのなっ、おまえら……!!」
 それを見た魔王は、ようやく呪法を放つのをやめた。
 ほっと胸を撫で下ろすみんな。
「いや〜、ありがとう! おとうさん!」
「……調子いいな、おまえ……」
 マニュアの言葉に、義父は呆れてつぶやいた。
「まったく……。まぁ、いい……」
 魔王は小さく溜め息を吐いた後、目を閉じた。そして、
「テンプテーション パープレキシティ エンバラスメント マネジメント ウィル」
 そう唱えた。――途端!
「……うっ……!?」
「頭――……痛い……!」
 ピュウ以外の9人が次々と膝を着き、倒れていった。
(今のは――幻惑の呪法……!? ……くそっ……!)
「ピュ、ピュ――――ッ!!!!!!!!」
 困ったようにみんなの周りを飛び回るピュウ。その叫び声だけが辺りに響き渡った。