ふらふらと歩いていた。
 辿り着いた場所で、風を感じたんだ。





  風を感じたから





 独りで、何もない、誰も来ないような空き地で、突っ立ってた。
 そっと目を閉じる。何も見えない。
 ただ、風の吹き抜ける音が、耳を掠めていく。

「……耳障りな、音だな…………」

 感じるのはその音と、風の心地良さだけだった。

 ……畜生。
 その風は、何だかやけに暖かくて、柔らかくて……
 体中を包み込んでくるから。
 慰めのようにも感じて、悔しかった。

 でも、今、ここでなら……
 涙を流しても、風がきっと掻き消してくれるから…………

 風の中で――
 泣いた。




はい、これも昔、某ネット友達のサイトの(以下略)
おかげで短いっす。
さて、これ以降は抽象的な物語が増えてくるか……?


――――2008/02/24 川柳えむ