夕焼けが照らす。
 世界は静寂に包まれていた。





  三日月と夕焼け





 割と、先ほどまでは騒がしかった気がする。
 もしかしたら、世界は終わったのかもしれないと、勘違いする程に。世界は静かになった。
 カーテンは閉めてあるけれど、夕焼けの、赤い、赤い、光が長く射し込んでいる。
 銀製の、多分、三日月が、今は床で眠っている。

 いつもいつも、煩かった。
 鐘が鳴り響いて。
 ただ、それは、遠くで揺れているだけで構わないものであった。
 その鐘が、突然大きな音を立てて、不快に鳴り響いたのはいつのことであったか。

 美しい人形が横たわる。
 夕焼けで、綺麗に染まっていく。
 三日月は、夕日に照らされ、眠り続ける。

 歌わなくなった鳥の嘴を、小さく突く。
 夕焼けに溶け込んで、少しだけ同じように染まる。
 世界は今、驚く程に穏やかだ。
 こんな幸せな気持ちで、一緒に眠ってしまおうかと、静かに瞼を閉じた。




 短い。比喩です。
 なんかもう1本書けてしまったので……。


――――2014/09/06 川柳えむ