エンタメクラブ Act.3:初めての活動
翌日の放課後。
どうせ、この部活が趣味を追求する部活っていうなら、私はこれでいいと思った。
だから、今日も茜さんを誘って、一緒に部室で好きなことをやっていたんだ。
「なにやってるの?」
着ぐるみ理事長が部室に入ってきた。
「なにって――見てのとおりですよ」
彼女の問いに、そのまま答えた。
そう、見てのとおり――私達は読書をしていた。
「なにこの部活?」
――おまえが言うか。
ちょっとカチンと来て、私はムッとしたまま言った。
「なにって、エンタメクラブですよ。趣味を追及する部活なんでしょ? 読書は私達の趣味なんです。べつにいいでしょ?」
「いや、悪いとは言ってないけど……」
着ぐるみ理事長は納得いかないと言った表情で呟いた。
そう。昨日も今日も、私と茜さん2人で、ずっと読書をしていた。趣味を追求する部活なら、本当に好きなことをやってやろうと思って。
――私は間違ってないはずなんだけど?
と、そこへ、
「よー」
森と葉山がやって来た。
「森、葉山。って、葉山、部活――陸上部のほうは?」
おもわず尋ねる。
「あー。大会終わってるから、部活ない日はしばらく出られるよ。また来月になったらべつの大会があるから、ちょっと忙しくなっちゃうかもしれないけど……」
「そうなんだ。大変だねぇ」
まぁ正直、それはどうでもいい。
「でも、もうすぐ中間試験でしょ。どちらにせよあまり来れないね、はっちゃん」
「うぅぅ……」
着ぐるみ理事長が葉山をいじっている。とりあえず、それもどうでもいい。
「ところで、なにやってんだ?」
着ぐるみ理事長と同じようなことを、森が訊いてきた。
テーブルの上に本が山積みになっているのを見て、怪訝そうな表情をする森。
「……読書…………」
ぼそりと答えた私に、森は容赦なく言った。
「は? 読書? なんで?」
「なんでって……! 私が読書好きだからだよ」
一生懸命答える私に、森はあいかわらずの表情で、
「読書―……? そんなだったら、俺、帰るわ」
あっさりとそう言って、鞄を置くこともせずに、部室を出て行こうとした。
「ちょっ……! ヒロ!? もう帰るのか!?」
驚いた葉山が森を引き止める。
森は葉山を振り返って言った。
「だって、俺、読書とか興味ねーし。やることねーから帰るわ」
――興味ないって……。そんな、いくら興味なくても、そんなあっさり言うもの?
少し――いや、けっこう落ち込んだ私。下を向いたまま森の言葉を聞いた。
「でも、せっかく来たんだし……」
葉山はそう言うが、森は本当に遠慮がないというか、容赦がない。
「俺は面白そうだから入ったんだぞ。でも、べつにそうじゃねーんだったら帰るって」
これは、私の勝手な思い込みかもしれないが、なんだか、責められている気がしてきた……。
だから、私はおもわず――
「…………う、うぅ……」
「……え、えぇ!?」
「ちょ、あ、木谷さん……!?」
森と葉山が焦った声を出したのがわかった。
しかし、そんなことはいっさい気にせず、私は2人の顔を見上げると言った。
「ふっざけるなああああああああああああぁぁぁぁ!!」
「え、え、えぇぇ!?」
驚く2人。
私はブチギレていた。
森と葉山、着ぐるみ理事長を睨み付け、
「誰もなにをやるかなんて提示してくれないくせに! 文句ばっかり言うなっ! だいたい着ぐるみ理事長が『趣味を追求する部活』だって言い出したんでしょーが! 私の好きなことやっててなにが悪いの! 文句言うなら最初からこんな部活作るな! せめてなにか意見を出せ!」
ぜーはー。
肩で息をする。
――珍しくキレてしまった……。たぶん、後ろでは茜さんが困っていることだろう……。葉山は怯えた顔をしているし。着ぐるみ理事長は顔色1つ変えてないけど……。
そして、森は――
「はぁ? 知らねーよ! だったら最初からそう言えよ! だいたい自分1人だけ好きなことやってどーすんだよ! ほかの人はどうしろってんだよ! だったら、最初から読書部にでもすりゃいいじゃねーか!」
キレていた……。
そして、私も、売り言葉に買い言葉ってやつか。おもわず反論を続けてしまう。
「あぁ、そうしたいとこですね! 最初から言えって言われても、誰もなにも手伝ってくれなかったくせに……! 私だって悩んだのに……!」
もう半泣き。
――森はキレるし、誰も助けてくれなかったし。もう辛い。やだ。部活辞めたい。帰りたい。
森は一瞬表情を崩して、
「あ……」
「よっし! いいこと思い付いた!」
このタイミングで。着ぐるみ理事長が声を上げた。
「鬼ごっこしよう!」
「……はぁ??」
翌日の放課後。
どうせ、この部活が趣味を追求する部活っていうなら、私はこれでいいと思った。
だから、今日も茜さんを誘って、一緒に部室で好きなことをやっていたんだ。
「なにやってるの?」
着ぐるみ理事長が部室に入ってきた。
「なにって――見てのとおりですよ」
彼女の問いに、そのまま答えた。
そう、見てのとおり――私達は読書をしていた。
「なにこの部活?」
――おまえが言うか。
ちょっとカチンと来て、私はムッとしたまま言った。
「なにって、エンタメクラブですよ。趣味を追及する部活なんでしょ? 読書は私達の趣味なんです。べつにいいでしょ?」
「いや、悪いとは言ってないけど……」
着ぐるみ理事長は納得いかないと言った表情で呟いた。
そう。昨日も今日も、私と茜さん2人で、ずっと読書をしていた。趣味を追求する部活なら、本当に好きなことをやってやろうと思って。
――私は間違ってないはずなんだけど?
と、そこへ、
「よー」
森と葉山がやって来た。
「森、葉山。って、葉山、部活――陸上部のほうは?」
おもわず尋ねる。
「あー。大会終わってるから、部活ない日はしばらく出られるよ。また来月になったらべつの大会があるから、ちょっと忙しくなっちゃうかもしれないけど……」
「そうなんだ。大変だねぇ」
まぁ正直、それはどうでもいい。
「でも、もうすぐ中間試験でしょ。どちらにせよあまり来れないね、はっちゃん」
「うぅぅ……」
着ぐるみ理事長が葉山をいじっている。とりあえず、それもどうでもいい。
「ところで、なにやってんだ?」
着ぐるみ理事長と同じようなことを、森が訊いてきた。
テーブルの上に本が山積みになっているのを見て、怪訝そうな表情をする森。
「……読書…………」
ぼそりと答えた私に、森は容赦なく言った。
「は? 読書? なんで?」
「なんでって……! 私が読書好きだからだよ」
一生懸命答える私に、森はあいかわらずの表情で、
「読書―……? そんなだったら、俺、帰るわ」
あっさりとそう言って、鞄を置くこともせずに、部室を出て行こうとした。
「ちょっ……! ヒロ!? もう帰るのか!?」
驚いた葉山が森を引き止める。
森は葉山を振り返って言った。
「だって、俺、読書とか興味ねーし。やることねーから帰るわ」
――興味ないって……。そんな、いくら興味なくても、そんなあっさり言うもの?
少し――いや、けっこう落ち込んだ私。下を向いたまま森の言葉を聞いた。
「でも、せっかく来たんだし……」
葉山はそう言うが、森は本当に遠慮がないというか、容赦がない。
「俺は面白そうだから入ったんだぞ。でも、べつにそうじゃねーんだったら帰るって」
これは、私の勝手な思い込みかもしれないが、なんだか、責められている気がしてきた……。
だから、私はおもわず――
「…………う、うぅ……」
「……え、えぇ!?」
「ちょ、あ、木谷さん……!?」
森と葉山が焦った声を出したのがわかった。
しかし、そんなことはいっさい気にせず、私は2人の顔を見上げると言った。
「ふっざけるなああああああああああああぁぁぁぁ!!」
「え、え、えぇぇ!?」
驚く2人。
私はブチギレていた。
森と葉山、着ぐるみ理事長を睨み付け、
「誰もなにをやるかなんて提示してくれないくせに! 文句ばっかり言うなっ! だいたい着ぐるみ理事長が『趣味を追求する部活』だって言い出したんでしょーが! 私の好きなことやっててなにが悪いの! 文句言うなら最初からこんな部活作るな! せめてなにか意見を出せ!」
ぜーはー。
肩で息をする。
――珍しくキレてしまった……。たぶん、後ろでは茜さんが困っていることだろう……。葉山は怯えた顔をしているし。着ぐるみ理事長は顔色1つ変えてないけど……。
そして、森は――
「はぁ? 知らねーよ! だったら最初からそう言えよ! だいたい自分1人だけ好きなことやってどーすんだよ! ほかの人はどうしろってんだよ! だったら、最初から読書部にでもすりゃいいじゃねーか!」
キレていた……。
そして、私も、売り言葉に買い言葉ってやつか。おもわず反論を続けてしまう。
「あぁ、そうしたいとこですね! 最初から言えって言われても、誰もなにも手伝ってくれなかったくせに……! 私だって悩んだのに……!」
もう半泣き。
――森はキレるし、誰も助けてくれなかったし。もう辛い。やだ。部活辞めたい。帰りたい。
森は一瞬表情を崩して、
「あ……」
「よっし! いいこと思い付いた!」
このタイミングで。着ぐるみ理事長が声を上げた。
「鬼ごっこしよう!」
「……はぁ??」