エンタメクラブ Act.6:君は太陽
月曜日――
「もぉー!! 笑ちゃん! 酷い! いつの間に背中にシール貼ってたのさ! 家に帰ってから気付いたよ! 気配を殺してこの私に近付くなんて――シノビか!」
――まぁ来ると思っていたけど。わざわざ私の教室までやって来た着ぐるみ理事長に、朝っぱらから面倒くさい絡まれ方をする。
「というか、大学部のほう、行かなくていいんですか?」
「今日の授業は3限目からだから大丈夫だよ! ちゃんと授業には出るさ!」
そこはさすが――腐っても理事長と言ったところか。
「『腐っても』とか酷いよ!」
「それで、文句を言いに来たんですか?」
「違うよ! 感想を聞こうと思って!」
こちらの質問を聞いた途端、キラキラと目を輝かせた。
――なんか、嫌な予感しかしない。
「ほら、そろそろホームルーム始まるんで――」
「逃がさないよ!」
がしっと力強く肩を掴まれる。
顔をぐいっと近付けてきて、それはもう好奇心の塊! と言った感じで高い声を出して尋ねてくる。
「で、でー? どうだったの? どうだったのー??」
――限りなく、鬱陶しい。
「な、なーにが、ですかー……?」
明後日の方向へ視線を逸らしながら訊き返した。
「そりゃもちろんー! ヒロ君の腕の中――」
「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!」
慌てて着ぐるみ理事長の口を塞ぐ。
「――……なにやってんだ?」
「ファッ!? も、森っ!!」
いつの間に登校してきたのか、森が私達の前に立っていた。
「おまえら、ドアの近くでそんなことやってたら邪魔だぞ」
「ぅあ。ごめん」
そそくさとドアの前から撤退して、自席へとやって来た。
「ていうかさー」
着ぐるみ理事長はテンションを上げたまま森のほうを振り返った。
「ていうかさ、じゃなくて。大学部に戻ってくださいよ、本当に」
そんな彼女に、私は再びそう告げて溜め息を吐いた。
そのまま椅子にどさっと座り、机に突っ伏す。
――朝から、疲れる……。
そう、気を抜いてしまった、まさにそのときだった。
「ヒロ君、笑ちゃんを抱き締めた感触どうだったー?」
――〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!?
着ぐるみ理事長は、周囲のことなどまったく気にせず――ここは教室で、ほかにもクラスメートがわんさかいるというのに――大きな声を上げて森にそんなとんでもないことを尋ねやがった。
「ぶっ!?」
森は盛大に吹き出した。
教室内がざわつく。
「は!? はぁ!? マジ……マジか、おまえ、ヒロ……ッ!!」
「えっ!? なに、おまえらそういう関係なの!?」
「えぇ!? おめでとう!」
「なんだよ、マジかよ!」
「いつからそんな関係になったんだよ!」
わっと、私達をクラスメートが取り囲む。
「えぇぇ、ち、違……っ!」
慌てて否定するが、クラスメートはもう大盛り上がりだ。
「あぁ、こいつらなぁ――」
――って、いつの間にか登校してる松まで話に加わって、むしろ盛大に広げちゃってるし! うわぁ、最悪だ!
い、いや、嫌なわけじゃないけどさ!
「あっ!」
周りに気を取られているところ、着ぐるみ理事長はそっと教室を出ようとしていた。
――これだけ引っ掻き回しておいて、あの人は〜っ……!
「逃げるなぁっ!」
「げえっ、笑ちゃん!」
ダッシュで教室を去っていく着ぐるみ理事長。
「待てぇ――――っ!!」
それを猛ダッシュで追いかける。
「あっ! 木谷さん!」
「笑ちゃん!」
「木谷!」
興味津々なクラスメートの私を引き止める声が聞こえたけれども、振り返らずに教室を飛び出したのだった。
――えっと、後はよろしく、森。
月曜日――
「もぉー!! 笑ちゃん! 酷い! いつの間に背中にシール貼ってたのさ! 家に帰ってから気付いたよ! 気配を殺してこの私に近付くなんて――シノビか!」
――まぁ来ると思っていたけど。わざわざ私の教室までやって来た着ぐるみ理事長に、朝っぱらから面倒くさい絡まれ方をする。
「というか、大学部のほう、行かなくていいんですか?」
「今日の授業は3限目からだから大丈夫だよ! ちゃんと授業には出るさ!」
そこはさすが――腐っても理事長と言ったところか。
「『腐っても』とか酷いよ!」
「それで、文句を言いに来たんですか?」
「違うよ! 感想を聞こうと思って!」
こちらの質問を聞いた途端、キラキラと目を輝かせた。
――なんか、嫌な予感しかしない。
「ほら、そろそろホームルーム始まるんで――」
「逃がさないよ!」
がしっと力強く肩を掴まれる。
顔をぐいっと近付けてきて、それはもう好奇心の塊! と言った感じで高い声を出して尋ねてくる。
「で、でー? どうだったの? どうだったのー??」
――限りなく、鬱陶しい。
「な、なーにが、ですかー……?」
明後日の方向へ視線を逸らしながら訊き返した。
「そりゃもちろんー! ヒロ君の腕の中――」
「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!」
慌てて着ぐるみ理事長の口を塞ぐ。
「――……なにやってんだ?」
「ファッ!? も、森っ!!」
いつの間に登校してきたのか、森が私達の前に立っていた。
「おまえら、ドアの近くでそんなことやってたら邪魔だぞ」
「ぅあ。ごめん」
そそくさとドアの前から撤退して、自席へとやって来た。
「ていうかさー」
着ぐるみ理事長はテンションを上げたまま森のほうを振り返った。
「ていうかさ、じゃなくて。大学部に戻ってくださいよ、本当に」
そんな彼女に、私は再びそう告げて溜め息を吐いた。
そのまま椅子にどさっと座り、机に突っ伏す。
――朝から、疲れる……。
そう、気を抜いてしまった、まさにそのときだった。
「ヒロ君、笑ちゃんを抱き締めた感触どうだったー?」
――〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!?
着ぐるみ理事長は、周囲のことなどまったく気にせず――ここは教室で、ほかにもクラスメートがわんさかいるというのに――大きな声を上げて森にそんなとんでもないことを尋ねやがった。
「ぶっ!?」
森は盛大に吹き出した。
教室内がざわつく。
「は!? はぁ!? マジ……マジか、おまえ、ヒロ……ッ!!」
「えっ!? なに、おまえらそういう関係なの!?」
「えぇ!? おめでとう!」
「なんだよ、マジかよ!」
「いつからそんな関係になったんだよ!」
わっと、私達をクラスメートが取り囲む。
「えぇぇ、ち、違……っ!」
慌てて否定するが、クラスメートはもう大盛り上がりだ。
「あぁ、こいつらなぁ――」
――って、いつの間にか登校してる松まで話に加わって、むしろ盛大に広げちゃってるし! うわぁ、最悪だ!
い、いや、嫌なわけじゃないけどさ!
「あっ!」
周りに気を取られているところ、着ぐるみ理事長はそっと教室を出ようとしていた。
――これだけ引っ掻き回しておいて、あの人は〜っ……!
「逃げるなぁっ!」
「げえっ、笑ちゃん!」
ダッシュで教室を去っていく着ぐるみ理事長。
「待てぇ――――っ!!」
それを猛ダッシュで追いかける。
「あっ! 木谷さん!」
「笑ちゃん!」
「木谷!」
興味津々なクラスメートの私を引き止める声が聞こえたけれども、振り返らずに教室を飛び出したのだった。
――えっと、後はよろしく、森。