グローリ・ワーカ　　　第４章：人間と魔族

　長い森を抜け、草原を歩き、５人と１匹が辿り着いた場所とは――

「っていうか――マジ、長かった……疲れた……」
「ほんとうに…………」
　みんなぐったりしている。
　迷いの森をどうにか抜けたのは、ルクスの町を出てから数日後。大量の魔物に襲われておもわずぶち切れそうになったときもあったが、なんとか無事に出ることができた。
　目の前に広がるのは、今度はだだっ広い草原。
　まだまだ歩くことになりそうだが、とりあえずは、迷いの森を出れただけで一安心であった。
「とりあえず、進みますか……」

　そうしてしばらく歩いていくと、遠くに町が見えた。その後ろには山が聳えている。
「やったー!!　町だ――!!」
　先ほどまでの疲れはどこへやら。一行は一目散に町へと駆けていった。

「あれ？」
　町へ向かう途中。というか、もう町には入っているのだろうが。
　どうにも不自然に、１軒だけ離れた場所に家が建っていた。ほんとうに、町外れという言葉がぴったりである。
　ふと気になったマニュアはその家へ向かっていった。
「マニュアちゃん。町に入らないの？」
　ティルがマニュアの後ろから声をかける。
「うん。ちょっと気になって――」
　そう言い、その家のドアを力強く叩いた。
「ごめんくださいー」
　しばらくすると、扉の向こうから１人の少年が現れた。
　――それは、浅黒い肌に尖った耳をしていた。

「え？」

　普通の人間ではない。
　それは一目でわかった。

「……誰ですか？」
　まだ５つくらいであろう少年が、５人の姿を見て尋ねる。その口からは、八重歯と言うよりは牙のようなものが見え隠れする。
　その少年の後ろから、これまた浅黒い肌に尖った耳をした男性が現れた。
「あなた方は――？」
「しがない冒険者です♪　ずっと歩いてきて疲れてしまい、やっと町を見つけたところです。もしよろしければ、少し休ませてもらえませんか？」
　マニュアは言った。
　それにほかのメンバーが驚く。
「ちょっと、マニュアちゃぁん？ι」
「さすがに迷惑じゃない？ι」
「町、すぐそこじゃねーか！」
「だって、疲れちゃったもん」
　マニュアの言葉に男性は笑って、
「どうぞどうぞ。たいしたおもてなしはできませんが、くつろいでいってください」