エンタメクラブ Act.2:部員を探せ!
そして、翌日。
「で。で? 誰なの? 思いついた人ってさぁ?」
朝のホームルームが始まる前から着ぐるみ理事長はやって来て、私に輝く笑顔で尋ねてきた。
「……彼女です」
私はその人物を指差した。
『山梨 宵(やまなし よい)』。それが彼女の名前だった。はっきりとした性格で、おどおどしたような子は大嫌い。仲のいい人には暴言、毒舌も吐き、ちょっと着ぐるみ理事長に似て自分勝手。いちおう、中学時代(卒業直前だけど)からの友人。
――そんな彼女が入ってくれるとは思わないんだけど……。
「笑。人を指差すな」
「……わああああああああああああああっ!?」
私はおもわず後退った!
――だって、いきなり人の背後に立ってるんだもん、この――宵ちゃん!
「んな、逃げるなよー。なんにもしてないじゃん」
彼女は小さく笑って、そう言った。
私は着ぐるみ理事長がいたハズの廊下を見た。
「あれっ!? いない!?」
「ねぇー。ウチの部に入部する気はない?」
「って、早っっっ!!」
着ぐるみ理事長はすでに宵ちゃんの前にいて、入部の話を持ちかけていた。
「……入部?」
「そう、しかも! 今なら大サービスで、絵夢理事長のオリジナルストラップも付けちゃうよ〜ん!! どう? 入部する気になってきたでしょう!?」
――いつの間にそんなモノ作ったんだろ、着ぐるみ理事長……。なんつーか……自分のやりたいことに関しては、ホンット行動が早いよなぁ……。
私は呆れるのを通り越して、半ば感心していた。
――しかし。あんな趣味の悪いストラップはいらんだろ。いや、フツーのストラップなんだけどさ。だって、これが人気キャラクターのストラップっていうのならまだしも……着ぐるみ理事長のストラップって……。
「し、シツレーな!! この私! 絵夢理事長様だってかなり人気があるんだぞ!」
「……また心を読んだのかい……」
――つーか、自分のことを様付けで呼ぶなっちゅーに。だいたい誰に人気があるっていうんだ……?
「……えむりじちょう?」
(すっかり存在を忘れていたが)宵ちゃんが、訝し気にそう訊いた。
それに、着ぐるみ理事長はまたもエラソーに答えた。
「そうそう! 自己紹介を忘れていたな! 私は『龍神 絵夢』と言って、この学園の理事長をやっている者だ!! ま、気軽に『理事長様(はぁとまぁく)』とでも呼んでくれたまへ」
「ハ? 理事長? こいつが?」
(とうぜんだろうが)どうにも……信じていない様子の宵ちゃん。
――というか、宵ちゃんも、なんだかエラソーな態度ですな……。
「……ふ。……えっと……宵とやら。この私に敬意を払わないとわ……なかなかやるな」
「つーか、コイツ、バカ?」
「バ……バカ!?」
着ぐるみ理事長は、大きくショックを受けたようで、真っ白に燃え尽きていた(笑)。
――ってゆーか、あの着ぐるみ理事長をここまで追いやるとわ……本当になかなかやるな、宵ちゃん……。
しかし、この宵ちゃんの様子は……どうやら着ぐるみ理事長を気に入ったらしい。
ナゼならさっきも言ったとおり。宵ちゃんは仲のいい相手にしか毒舌を吐かないのだ。……ああ、まぁ、彼女が毒舌を吐きやすい相手だっただけかもしれないけれど……。
「それで? なに? 入部とか言ってたけど?」
「へ?」
宵ちゃんがとつぜん私に向かって訊いてきたので、おもわず声が裏返ってしまった。
「いや『へ?』じゃなくてさ」
――いちおう、ちゃんと話は聞いていてくれたのか……。
まぁ、念のためっちゅーか……ダメ元で訊いてみることにした。
「なんか、私、今度新しくできる『エンタメクラブ』とかゆー部活の、部長をやることになったんだけど……部員がまだ揃わなくてさ。試しに宵ちゃんを誘ってみたのさ。あ、ちなみに。この着ぐるみ理事長とゆー人が、新しい部活の発案者です」
そう言って、私は着ぐるみ理事長を、宵ちゃんの前に引っ張り出した。
着ぐるみ理事長は、力なく右手を上げると、
「……どーもぉ。私が、バカな理事長ですよ……」
――まだショックから立ち直れないのかい、着ぐるみ理事長……。
今は、説明してくれる気もなさそうなので、とりあえず私が説明することにしよう。
「……まぁ、とにかく。入部っていうのは、そーゆーこと。強制はしないけど、入ってくれたら助かるな」
「……で? なにをする部活なの?」
そう訊いてくる宵ちゃん。
――って……あれあれ? なんか、宵ちゃんも……興味あるのか!?
「えっと……部活の内容ね。それはー……趣味を追求するだのなんだの……」
「う〜ん。中身のなさそーな部活だね」
きっぱりと。
宵ちゃんは、ステキにストレートに感想を言ってくださった。
そして、翌日。
「で。で? 誰なの? 思いついた人ってさぁ?」
朝のホームルームが始まる前から着ぐるみ理事長はやって来て、私に輝く笑顔で尋ねてきた。
「……彼女です」
私はその人物を指差した。
『山梨 宵(やまなし よい)』。それが彼女の名前だった。はっきりとした性格で、おどおどしたような子は大嫌い。仲のいい人には暴言、毒舌も吐き、ちょっと着ぐるみ理事長に似て自分勝手。いちおう、中学時代(卒業直前だけど)からの友人。
――そんな彼女が入ってくれるとは思わないんだけど……。
「笑。人を指差すな」
「……わああああああああああああああっ!?」
私はおもわず後退った!
――だって、いきなり人の背後に立ってるんだもん、この――宵ちゃん!
「んな、逃げるなよー。なんにもしてないじゃん」
彼女は小さく笑って、そう言った。
私は着ぐるみ理事長がいたハズの廊下を見た。
「あれっ!? いない!?」
「ねぇー。ウチの部に入部する気はない?」
「って、早っっっ!!」
着ぐるみ理事長はすでに宵ちゃんの前にいて、入部の話を持ちかけていた。
「……入部?」
「そう、しかも! 今なら大サービスで、絵夢理事長のオリジナルストラップも付けちゃうよ〜ん!! どう? 入部する気になってきたでしょう!?」
――いつの間にそんなモノ作ったんだろ、着ぐるみ理事長……。なんつーか……自分のやりたいことに関しては、ホンット行動が早いよなぁ……。
私は呆れるのを通り越して、半ば感心していた。
――しかし。あんな趣味の悪いストラップはいらんだろ。いや、フツーのストラップなんだけどさ。だって、これが人気キャラクターのストラップっていうのならまだしも……着ぐるみ理事長のストラップって……。
「し、シツレーな!! この私! 絵夢理事長様だってかなり人気があるんだぞ!」
「……また心を読んだのかい……」
――つーか、自分のことを様付けで呼ぶなっちゅーに。だいたい誰に人気があるっていうんだ……?
「……えむりじちょう?」
(すっかり存在を忘れていたが)宵ちゃんが、訝し気にそう訊いた。
それに、着ぐるみ理事長はまたもエラソーに答えた。
「そうそう! 自己紹介を忘れていたな! 私は『龍神 絵夢』と言って、この学園の理事長をやっている者だ!! ま、気軽に『理事長様(はぁとまぁく)』とでも呼んでくれたまへ」
「ハ? 理事長? こいつが?」
(とうぜんだろうが)どうにも……信じていない様子の宵ちゃん。
――というか、宵ちゃんも、なんだかエラソーな態度ですな……。
「……ふ。……えっと……宵とやら。この私に敬意を払わないとわ……なかなかやるな」
「つーか、コイツ、バカ?」
「バ……バカ!?」
着ぐるみ理事長は、大きくショックを受けたようで、真っ白に燃え尽きていた(笑)。
――ってゆーか、あの着ぐるみ理事長をここまで追いやるとわ……本当になかなかやるな、宵ちゃん……。
しかし、この宵ちゃんの様子は……どうやら着ぐるみ理事長を気に入ったらしい。
ナゼならさっきも言ったとおり。宵ちゃんは仲のいい相手にしか毒舌を吐かないのだ。……ああ、まぁ、彼女が毒舌を吐きやすい相手だっただけかもしれないけれど……。
「それで? なに? 入部とか言ってたけど?」
「へ?」
宵ちゃんがとつぜん私に向かって訊いてきたので、おもわず声が裏返ってしまった。
「いや『へ?』じゃなくてさ」
――いちおう、ちゃんと話は聞いていてくれたのか……。
まぁ、念のためっちゅーか……ダメ元で訊いてみることにした。
「なんか、私、今度新しくできる『エンタメクラブ』とかゆー部活の、部長をやることになったんだけど……部員がまだ揃わなくてさ。試しに宵ちゃんを誘ってみたのさ。あ、ちなみに。この着ぐるみ理事長とゆー人が、新しい部活の発案者です」
そう言って、私は着ぐるみ理事長を、宵ちゃんの前に引っ張り出した。
着ぐるみ理事長は、力なく右手を上げると、
「……どーもぉ。私が、バカな理事長ですよ……」
――まだショックから立ち直れないのかい、着ぐるみ理事長……。
今は、説明してくれる気もなさそうなので、とりあえず私が説明することにしよう。
「……まぁ、とにかく。入部っていうのは、そーゆーこと。強制はしないけど、入ってくれたら助かるな」
「……で? なにをする部活なの?」
そう訊いてくる宵ちゃん。
――って……あれあれ? なんか、宵ちゃんも……興味あるのか!?
「えっと……部活の内容ね。それはー……趣味を追求するだのなんだの……」
「う〜ん。中身のなさそーな部活だね」
きっぱりと。
宵ちゃんは、ステキにストレートに感想を言ってくださった。