★ Christmas Tales 2016 ★




〜 金太郎 〜

 むかしむかしあるところに男の子と母親が暮らしていました。
 ちなみに、あるところとは足柄山の山奥です。
 そして、男の子の名前は金太郎といいました。
金太郎(ニール)「だから、あるところから始める意味はあるのか」
 金太郎は母親に与えられた腹掛けをいつもつけていました。
 最初はぶかぶかでしたが、金太郎は森の動物達と遊ぶうちにどんどん大きくなり、腹掛けもぴったりになりました。
 大きくなり力もついた金太郎に、母親は今度はまさかりをプレゼントしました。
 これはつまり「薪割りの手伝いしろよ☆」ということでした。
金太郎(ニール)「しょうがない。武闘家だけどまさかり装備しつつ、薪割りのための薪を集めに行くか」
 金太郎はいつもの森で薪を集め始めました。
鹿(日向)「あ。金太郎さん。なにをやっているの? 薪集め?」
金太郎(ニール)「鹿。手伝いしろって言われたから、しゃーなく薪集めてる」
鹿(日向)「私も手伝おうか?」
金太郎(ニール)「ありがとう」
猿(会長)「わ、私も手伝うぞ!」
金太郎(ニール)「猿!? いつの間に」
猪(かんな)「あ。金太郎ー!」
金太郎(ニール)「ん? 猪」
猪(かんな)「金太郎はこの森で1番強いの?」
金太郎(ニール)「いきなりだな。いや。母に逆らえないってこと考えると、1番強いのは母じゃねーか」
猪(かんな)「たしかに……。あ、そうじゃなくて! 金太郎は強いけど、山で1番強いのは熊だって噂があって。どっちが強いか勝負しようってことになったの!」
金太郎(ニール)「俺のいねーとこで勝手な話を」

 ――というわけで。金太郎は熊と相撲勝負をすることになりました。
猪(かんな)「東〜熊の山〜。西〜金太郎の山〜」
東〜熊の山〜。西〜金太郎の山〜。
鹿(日向)「どっちも山」
猪(かんな)「はっけよい。のこった!」
金太郎(ニール)「っつーわけで、悪ぃけど、本気でいかせてもらうぜ」
熊(愁梧)「熊が山で1番強いって誰が決めた」
金太郎(ニール)「いくぜ! 爆風拳!!」
 金太郎の拳は光を放ち、その光は一直線に熊を貫いた!
熊(愁梧)「本気の技放つのやめてください!」
 ドゴオォォォォォォン!!!!
 熊を倒した!
猪(かんな)「勝負あり! 金太郎の山の勝利!」
鹿(日向)「これで金太郎が山で1番強いってことが証明されたわね!」
猿(会長)「そう、だね……。…………そうか?」
 視線を兎の方へ向けながら、猿は呟きました。
兎(躍人)「さすが金太郎。強いな……!」
 ゴゴゴゴゴゴ……。
 禿げ上がった頭、鋭い眼光、頬に斜めに入る刀傷。兎の姿はどう見てもヤーさんでした。
猿(会長)「兎のほうが強そうだと……」
鹿(日向)「どう見ても熊と配役逆よね……」
金太郎(ニール)「まぁ普通の熊にしちゃ、おまえもやるじゃねーか」
熊(愁梧)「なにもやってないけどね!」
 ガシッ。
 2人(1人と1頭)は、力強い握手を交わしました。
 日が傾いて、2人を照らしています。
猪(かんな)「感動的なシーンだね☆」
猿(会長)「そうか?」

 あくる日、いつものメンバーで栗拾いへ行くことにしました。
猪(かんな)「それじゃ。栗拾いへ出発ー!」
 しかし、栗拾いへ向こう途中、崖のところで問題が発生しました。
鹿(日向)「橋が、ない……!」
 向こう側へ渡るための橋が崩れ落ちてしまっていました。
 だが、そこはヒーロー金太郎の出番です!
金太郎(ニール)「しゃーねぇ。俺に任せろ」
 取り出したるはまさかり。
 まさかりで大木を切り始めました。
猿(会長)「原作だとたしか素手だろ!?」
鹿(日向)「ものによってはまさかりで倒してるのもあるみたいだけど……。うん、でもたしかにまさかりのほうが正しい気もするわね」
 まさかりを使って大木を倒し、上手く橋のように掛けることができました。
猪(かんな)「すごい! カンペキだね!」
 こうして、崖を渡り、みんなは栗を拾うことができました。
 そこへ――
熊(愁梧)「再挑戦だ!」
 熊が再び現れました。
金太郎(ニール)「なんで!? 倒され足りないのか?」
熊(愁梧)「い、いやいや! 今度こそ勝つから、たぶん……!」
猪(かんな)「じゃあ、いいこと思いついたんだけど。料理勝負はどうかな?」
金太郎(ニール)熊(愁梧)なぜ!!!!????

猪(かんな)「というわけで、始まりました! 第1回お料理バトル! 栄光を手に入れるのは誰だ!? 司会はワタクシ、猪が行ってまりいます☆」
猿(会長)「なぜいきなり料理バトル小説に!?」
猪(かんな)「えー。ちょうど栗があるし、上手くいけば美味しい栗料理作ってもらえるかな〜って」
鹿(日向)「ちゃっかりしてるわね、この子……」
猪(かんな)「では、選手紹介! 鮭捕り技術で右に出る者はいない! 山の長、熊! そして、その赤い腹掛けは闘志を燃やしたエプロンか!? 期待の新鋭、金太郎! 審査員は、猪、鹿、猿、兎で行っていきます! 兎さん、なにかコメントをどうぞ」
鮭捕り技術で右に出る者はいない! 山の長、熊! そして、その赤い腹掛けは闘志を燃やしたエプロンか!? 期待の新鋭、金太郎!
兎(躍人)「熊の鮭捕り技術は有名だが料理の腕まではどうかわからない。そして金太郎は新人だが山で1番強い。どんな料理が出るか楽しみだ」
猪(かんな)「はい。コメントありがとうございました! では、今回は栗を使った料理をしていただきます! 選手の皆さん、準備はいいでしょうか? それでは、お料理バトル! 始め!」
金太郎(ニール)「どうしてこうなった! どうしてこうなった!( ^ω^ )」
熊(愁梧)「えーと……まず、栗を……割る」
 熊、栗のトゲで15のダメージ。
兎(躍人)「熊ああああああぁぁぁぁ!」
猪(かんな)「なんと壮絶なバトルでしょう。いきなりの負傷者です」
猿(会長)「壮絶とは」
 ――こうして、お料理バトルは尊い犠牲を出しながらも進んでいき――
猪(かんな)「さて! 両者出揃いました! では、まずは熊選手からの料理です!」
 熊の料理がテーブルに置かれました。それは――
熊(愁梧)「えーと、栗ご飯、です」
 実食!
 4人(匹)は、栗ご飯を同時に口へ運びました。そして――
 ぶはっ!!
 同時に口から吹き出しました。
猿(会長)「な、なんだこれは! ご飯が生煮えじゃないか!」
鹿(日向)「さすがに、これは……」
兎(躍人)「……………………」
猪(かんな)「兎さん! 怖い顔のまま固まっています! これはひどい!」
熊(愁梧)「え? 本当!?」
 熊が自分の作った料理を口に運びます。
 ぶはっ!!
鹿(日向)「熊さ――――――――――――ん!!」
猪(かんな)「熊選手が倒れたため、優勝は金太郎選手!」
 金太郎は大きな歓声と拍手に包まれました。
金太郎(ニール)「俺、まだ料理出してねーんだけど!?」
兎(躍人)「さすがだ、金太郎」
鹿(日向)「あ。兎さんが復活した」
サンタ侍(躍人)「金太郎……。実は俺は都から料理人を探しに来たサンタ侍なんだ。そのクリスマスカラー(赤)のエプロンを見た時からずっと様子を窺っていた。どうやら俺の目に狂いはなかったようだ。お料理バトルで優勝した金太郎よ、どうか俺と一緒に来てくれ」
金太郎(ニール)「超展開――――――――!? サンタ侍ってなんだよっていうか、べつにどこにもクリスマス要素ねーし、それにエプロンじゃねーし、だいたい俺料理出してねーって!」
 こうして、金太郎は立派な料理人になり、その料理で鬼の大将を唸らせることとなるのですが、それはまたべつのお話です。
金太郎(ニール)「いろいろツッコミどころ多過ぎるわ処理しきれん!」
猿(会長)「ちなみに、金太郎の料理はなんだったんだ?」
金太郎(ニール)「伝書鳩飛ばしてお菓子作りは得意な白雪姫に頼んで作ってもらったモンブラン」
猿(会長)「バトル中に!? 伝書鳩!? 白雪姫に!? おまえもツッコミどころ多過ぎるぞ!?」
 めでたしめでたし。

金太郎
キャスト
金太郎 ニール・クラベット (グローリ・ワーカ)
葉山 愁梧 (エンタメクラブ)
鹿 日向 (ひので町コント)
生徒会長 (ひので町コント)
横山 かんな (神様の望んだセカイ)
兎(サンタ侍) 神成 躍人 (僕の生存日記)