★ Christmas Tales 2016 ★




〜 白雪姫 〜

 むかしむかしあるところに雪にように白い肌を持ったとても美しい姫がいました。
 しかし、その継母である王妃は世界で自分こそが1番美しいと信じていました。
 ある日、王妃が鏡に向かって尋ねました。
王妃(都)「鏡よ鏡よ鏡さん。この世で1番美しいのは誰?」
鏡(KIRA)「あいかわらずの鏡役なんだZE! ごほん。それは白雪姫なんだZE!」
王妃(都)「なんですって?」
鏡(KIRA)「でもたしかに王妃様も綺麗なんだZE!」
王妃(都)「あら、ありがとう。でもどうしたものかしら。あの子を殺すしかないのかしら」
鏡(KIRA)「…………神様の望んだセカイの本編を知ってると、そのセリフちょっと笑えないんだZE……」
王妃(都)「……なんのことかしら……」

 そんなわけで、王妃は猟師に白雪姫の暗殺を依頼しました。
王妃(都)「頼んだわね」
猟師(皇海)「人殺しはヤだよ……」
王妃(都)「猟師のくせに人も狩れないの?」
猟師(皇海)「猟師は普通人狩らねーよ!!!!!!!!」
 でもやらないとクビになってしまうので、猟師はしかたなく白雪姫を森に誘い出して殺すことにしました。

猟師(皇海)「下っ端はつらいぜ。……あ、白雪姫さん」
白雪姫(ティル)「前は王妃役やった気がするけど、今回は白雪姫だよー。で、どうしたの、猟師さん」
猟師(皇海)「えーと……いい天気ですね〜……」
白雪姫(ティル)「そうだねぇ」
猟師(皇海)「あー……ちょっと散歩にでも行きませんか?」
白雪姫(ティル)「なにそれナンパ?」
猟師(皇海)「違ぇよっ!!!!!!!!」
白雪姫(ティル)「あはは。冗談だよぉー。瑠美ちゃんがいるもんね?」
猟師(皇海)「もっと違ぇよっ!!!!!!!!!!!! ルビーとかありえねぇ!!!!」
白雪姫(ティル)「あれ? 玲音ちゃんだっけ?」
猟師(皇海)「いや……っ、違…………っ!」
白雪姫(ティル)「まぁいいや。じゃあ散歩行こうー」

 白雪姫 in 森。
猟師(皇海)「というわけで、森まで来てもらってすまないが、死んでもらう」
白雪姫(ティル)「唐突! なんで!?」
猟師(皇海)「姫さんを殺さないと俺のクビが切られる……っ!」
白雪姫(ティル)「物理的な意味じゃないなら、犯罪者になるよりマシじゃないかなぁ!?」
猟師(皇海)「それもたしかにそうだけど」
白雪姫(ティル)「でしょ。じゃあ、私もう帰らないから。家出するからー! 白雪姫は死んだ! ってことにして、猟師さんは帰りなよ」
猟師(皇海)「悪ぃな……」
白雪姫(ティル)「まぁかわいい子には旅をさせろって言うしー」
猟師(皇海)「うん……。まぁ、うん……??」
白雪姫(ティル)「それじゃあ、達者でねぇ。猟師さーん!」
猟師(皇海)「そちらこそ!」

 白雪姫が森の中を1人さ迷い歩いていると、目の前に小さな家が現れました。
白雪姫(ティル)「ノックするよー」
 しかし、反応はありません。
 家の鍵は開いているようです。
白雪姫(ティル)「勝手にお邪魔するよー。RPGの勇者は家探ししてアイテム見つけるものだしね」
 泥棒宣言をする白雪姫でした。
 家の中に入ると、料理が用意してあります。ベッドもあります。
白雪姫(ティル)「七面鳥! そっかー。今日クリスマスイブだぁ。いただきまーす」
 白雪姫は遠慮がありません。
 ひととおり食い散らかし、満腹になった白雪姫は、ベッドに横になると眠り始めました。
 ――と、そこへ。
小人1(PIKA)「ただいまだ……」
ただいまだ……。
 強面の小人が帰ってきました。泣く子も黙るような威圧感です。怖い。
小人2(七星)「いやー仕事疲れたわー」
小人3(七夕)「だよねー。七星ー。ところで、ご飯にする? お風呂にする? それとも――」
小人4(七五三)「つっかれたー。ねー、七星ー」
小人5(シリア)「いや、あなた達、3人でSMやっててあまり働いてませんよね?」
小人6(隆雄)「今日もいい薬品ができた」
小人7(琴音)「すごいですね。でも、変なことには使わないでくださいね……?」
 続けて、6人の小人も入ってきました。合計7人もいます。
小人2(七星)「って、あ――――――――!!!! 料理がなくなってる!!」
小人6(隆雄)「え? 本当だ!!??」
小人3(七夕)「クリスマスのごちそう用意してたのにー!!」
 小人達が悲しみ騒ぎ立てます。
小人5(シリア)「あの……隣の部屋。ベッドで誰か寝てるんだけど……」
小人1(PIKA)「侵入者か!?」
小人4(七五三)「泥棒こえぇ!」
小人7(琴音)「あの、気を付けてくださいね……!」
 小人1がベットに近付くと、その人が目を覚ましました。
 白く美しい肌。白雪姫です。
白雪姫(ティル)「おはよー……。って、あれぇ……? ここ、どこ……」
 寝ぼけています。
白雪姫(ティル)「えーと…………うわっ! 怖い顔!!」
 ようやく目の前に怖い顔があることに気付きました。
 ここは小人の家です。
白雪姫(ティル)「そうだった! 美味しいご飯食べて寝ちゃったんだ! あの、えっと……」
小人1(PIKA)「…………(ズゴゴゴゴ……)」
 白雪姫は「あかん。これ、殺される」と思いました。
 この先生きのこるには――
白雪姫(ティル)「ごごごごめんなさいぃー! 継母に命を狙われて逃げてきたんです! お腹ペコペコで疲れてたんですー!」
 いちおう嘘は言っていない。
小人1(PIKA)「……………………!(ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……)」
白雪姫(ティル)「なんかもっと怖くなってる――――!!!!」
 白雪姫は混乱して、とりあえずお経を唱え始めました。
小人5(シリア)「なにこのカオス……」
 ガシッ!
 とつぜん、小人1が白雪姫の肩を力強く掴みました。
白雪姫(ティル)「ひぃっ!」
「今度こそ殺される」――白雪姫は泣きながら思いました。
小人1(PIKA)「うぅっ……若いのに大変な目に遭っているんだな……。うおぉぉぉぉ〜〜〜〜っ!! 感動した!!!! 必要ならいくらでもいてくれて構わない! 力になるぞ〜〜〜〜!!!!」
 小人1は号泣しています。意外にも感動屋で涙もろいのでした。
 白雪姫はぽかーんとしています。
小人6(隆雄)「えぇと……ていうか、あの料理を食べてなにもなかったですか?」
 小人6が、とつぜん白雪姫にそう尋ねました。
白雪姫(ティル)「え? う、うん……?」
小人6(隆雄)「うーむ。おかしいな……? 分量間違えたか……」
 小人6はぶつぶつと独り言を言いながらどこかへと行ってしまいました。
小人7(琴音)「料理になに入れてたんですか?」
小人2(七星)「食べなくてよかったかもしれないな……」
 小人6の後ろ姿を見送ったほかの小人達の顔は青くなっています。
白雪姫(ティル)「え!? 私、大丈夫!?」
小人5(シリア)「生きてるから、たぶん……」
 ――そんなこんなで、白雪姫と小人達との共同生活が始まりました。

王妃(都)「鏡さん。この世で1番美しいのは?」
 お城では、王妃がまた鏡に問いかけています。
鏡(KIRA)「森の小人の家で暮らしてる白雪姫なんだZE!」
 白雪姫は実は生きているので、鏡はそう答えました。
王妃(都)「白雪姫は生きていたのね。そう……じゃあ、今度は私が直接行きましょうか」
鏡(KIRA)「殺人、ダメ! ZETTAI!」

 翌日。
小人1(PIKA)「では、今日も仕事をしてくるからな……。怪しい人が来てもドアを開けないようにするのだぞ……」
白雪姫(ティル)「大丈夫〜! 家でゴロゴロ。寂しくクリぼっちしてるよ!」
小人5(シリア)「家のことやってていいのよ?」
小人1(PIKA)「とにかく。行ってくる……」
白雪姫(ティル)「いってらっしゃ〜い!」
 小人が出て行ってしばらくすると、コンコン。と、玄関がノックされました。
白雪姫(ティル)「誰か来た! 居留守使おう!」
 白雪姫はノックなど無視して、ゴロゴロしながら雑誌を読んでいます。
 コンコン!
 再度玄関がノックされました。さっきよりも強めです。
???「amaz○nからのお届けものです」
白雪姫(ティル)「あ! もしかして、この間買った健康器具届いた!?」
 白雪姫は玄関のドアを開けました。
 ドアの前には、赤いローブで顔を隠した怪しい人物が立っていました。
白雪姫(ティル)「間違いだったみたいです」
 白雪姫はドアを閉めようとしました。
???「あ〜! 待って待って!」
 怪しい人物が必死に引き留めてきます。
サンタ配達員(京太)「怪しくないよ。俺はサンタ配達員。ローブだってサンタっぽく赤いだろう? amaz○nから白雪姫宛にリンゴのお届け物があって来たんだ」
白雪姫(ティル)「リンゴなんて頼んでない」
サンタ配達員(京太)「だから、俺はサンタ配達員なんだ。サンタだ。今日はクリスマスだから、いい子にしてる白雪姫にプレゼントを持ってきたんだよ」
白雪姫(ティル)「じゃあ貰うー!」
 あっさり貰ってしまう白雪姫でした。
白雪姫(ティル)「どうしようかなー? アップルパイでも作ろうかなぁ?」
サンタ配達員(京太)「えっ!? いやいや、今食べよう! リンゴは1個しかないし、小人の分なんて足りない。これは白雪姫に届いたプレゼントなんだから、白雪姫が食べるべきだ。今、この場で!」
白雪姫(ティル)「えぇー? べつにいいけどぉー……」
 白雪姫はamaz○nの箱を開け中に入ってるリンゴを取り出すと、おもむろにそれを齧りました。
 そして、次の瞬間――
サンタ配達員(京太)「――え?」

 仕事を終えて、小人達が戻ってきました。
小人1(PIKA)「白雪姫、ただいm――」
小人2(七星)「うわぁ!? なんだこれええええええええええええええええええ!!!!????」
 家に帰ってくるとびっくり。
 なんと、白雪姫が巨大化して、家を突き破っていました。
なんと、白雪姫が巨大化して、家を突き破っていました。
 白雪姫の前には驚いて腰を抜かした誰かが座り込んでいます。
小人7(琴音)「大丈夫ですか?」
サンタ配達員(京太)「だ、大丈夫……。ていうか、どういうことなの……」
小人6(隆雄)「あれ? 今さら効果が?」
小人5(シリア)「昨日勝手に料理に入れたっていう薬の効果!?」
小人6(隆雄)「え、えと。いや、ただ……私達は小人だから小さいでしょう? 薬で人並にした方が服とか買いやすいよなぁと思って……。いやしかし、なぜ――……白雪姫。なにか食べたか?」
白雪姫(ティル)「えーと、リンゴ食べたよー」
サンタ配達員(京太)「毒リンゴを与えたらこうなった!」
白雪姫(ティル)小人5(シリア)毒リンゴ!?
小人1(PIKA)「毒リンゴ、だとぉ……?」
小人6(隆雄)「あぁ、そうか。リンゴ酸が足りてなかったから。そこへなんの毒かわからないけど、その成分によって、効果が増大したというわけか。ふむふむ。まぁ、たぶん、そのうち戻ります(と思う)」
白雪姫(ティル)「()内!」
小人2(七星)「ていうか、毒リンゴって。こいつ、昨日白雪姫が言ってた継母じゃね?」
王妃(都)「ふん。ばれてしまってはしかたない。そう。私が白雪姫の命を狙っている王妃! でも、こんな状態の白雪姫なんて倒せる気がしないから、とうぶんはやめとくわ」
小人4(七五三)「それがいいと思う」
 こうして、サンタ配達員こと王妃はお城へと帰っていきました。

小人5(シリア)「さて――どうする?」
小人6(隆雄)「戻す薬があるわけでもないしなぁ」
 そこへ――
???「巨人だ! 巨人は駆逐してやる!」
小人2(七星)「イェー○ー!?」
 声のほうを振り返ると、そこには……
王子(緑)「残念! 王子様でしたー」
小人3(七夕)「王子!?」
 王子様が立っていました。
王子(緑)「で、そこの巨人はなんだ!? 駆逐してやる!」
小人7(琴音)「あれは白雪姫さんです! 巨人じゃありません!」
王子(緑)「白雪姫……? 肌が雪のように白く美しい姫がいると……たしかその名が白雪姫だと聞いたことがあるような……? それが、この巨人……?」
白雪姫(ティル)「巨人じゃないよぉ。白雪姫だよぉ」
王子(緑)「どうしてこんなことに?」
小人6(隆雄)「少し体が大きくなる薬を作ったはずなんだが、毒リンゴと化学反応を起こして、こんなことになってしまった」
王子(緑)「体が大きくなる薬? なにを入れたんだ?」
小人6(隆雄)「○○と××と△△を1度沸騰させてその後――」
王子(緑)「ふむふむ。それなら、そこに□□を入れて――これで戻す薬もできるんじゃないか?」
小人6(隆雄)「なるほど。ここが反応を起こして、こうなるから――ありがとう! 王子! これでなんとかなりそうだ!」
王子(緑)「いやいや。俺もおもしろい話ができてよかった」
小人2(七星)「なんだあそこ。さっぱりわからん」
小人4(七五三)「一応俺らも理系なんだけどねー」
小人6(隆雄)「というわけで、戻す薬作ってきた」
小人5(シリア)「早いわね!?」
小人6(隆雄)「は、はい。どーぞ。白雪姫」
白雪姫(ティル)「わーよかったよー!」
 こうして、白雪姫も無事元に戻り、王妃の白雪姫暗殺計画はうやむやに終わったのでした。
 そして、白雪姫は今でも小人の家で暮らし、王子はたまに遊びに来ては小人6と薬学の話で盛り上がっているそうです。
 これから先、白雪姫と王子の関係になにか変化はあるのか? それは神様のみが知っています。
王子(緑)「って、俺彼女いるし」
白雪姫(ティル)「そうなの!?」
 めでたしめでたし。

白雪姫
キャスト
白雪姫 ティル・オレンジ (グローリ・ワーカ)
王子 高木 緑 (エンタメクラブ)
王妃(サンタ配達員) 新井 都片井 京太) (神様の望んだセカイ)
KIRA (ひので町コント)
猟師 青柳 皇海 (ミス研日誌)
小人1 PIKA (ひので町コント)
小人2 七星 (ひので町コント)
小人3 七夕 (ひので町コント)
小人4 七五三 (ひので町コント)
小人5 シリア・ブラック (グローリ・ワーカ)
小人6 長根 隆雄 (僕の生存日記)
小人7 音無 琴音 (僕の生存日記)